ブランディング刷新で、顧客のエクスピリエンスも改善する

2019年に起こった変化と言えば、ブランディングの刷新も行われた。同社は赤色をコーポレートカラーとしており、Webサイトなども赤色を基調としたデザインを採用していたが、ソフトなデザインに変更されている。プレゼンテーションのテンプレートも同様に、表現がソフトになっている。

ヨハンセン氏は、「ブランディングの刷新はProject Redwoodの一環」と話す。Project Redwoodは、オラクルの製品やサービスのUI/UXのフレームワークとなる。「Project Redwoodはお客さまが簡単にオペレーションできるようなLook&Feelを実現し、お客さまのエクスピリエンスの基盤となります」(同氏)

さらに、ヨハンセン氏はProject Redwoodについて、「これまで、われわれはソフトウェアを提供しているベンダーでしたが、これからはサービスを提供するベンダーになっていくことを示唆しています」と語る。

2020年はこれまで以上に働き方を変えていく

こうした2019年の成果を踏まえ、2020年、オラクルはどのようにビジネスを進めていくのだろうか。

ヨハンセン氏は、2020年の目標は2つあると述べた。1つは、社員がすぐれたカスタマーエクスピリエンスを提供していけるようにすることだ。まずは、人材に投資するという。加えて、顧客がソリューションを導入する際、フルライフサイクルにわたってフォローできるようにする。「セールスプロセスにおいても、顧客の課題解決を支援し、すぐれたエクスピリエンスを提供できるようにします」と同氏。

購入した同社のソリューションやサービスのメリットを最大限享受できるよう、高いレベルのサービスも提供していく。そのために、パートナーとの関係も強化していく。

もう1つは、自身も含めて、働き方を変えることだ。ヨハンセン氏は冗談交りに「18時に帰宅して、家族と過ごしたいです」と話した。

オラクルはグローバルで社員の働き方の改革に取り組んでおり、「その国の最高水準であり続けること」を目標としているそうだ。ヨハンセン氏は、働き方を改革するカギは「柔軟な働き方の実現」と指摘する。

ヨハンセン氏はOracle Denmarkのカントリー・リーダーを務めていたこともあるのだが、その後任として、産休中の女性を指名して成功したと教えてくれた。その女性は、自宅と会社と半分ずつ働いていたそうだが、日本では正直、ありえない話だ。

この人事が成功した理由を聞いたところ、「柔軟な働き方ができたことに加え、彼女がオープンだったからうまくいったのだと思います」という答え方が返ってきた。

日本では働き方改革と言えば、残業時間の削減にばかり焦点が当たりがちだが、本当の働き方改革とは何かを考えさせられる事例と言える。

数年前からクラウドシフトを掲げてきたオラクルだが、日本にデータセンターを開設し、クラウドサービスのアーキテクチャを刷新したことで、2020年はそれらをベースにクラウドビジネスの飛躍が期待される。