日本マイクロソフトは12月16日、中堅中小企業・スタートアップ企業のデジタルトランスフォーメション推進支援策として、働き方改革、データ活用の改革、スタートアップ企業の変革の3つに注力すると発表した。

  • 中堅中小企業・スタートアップ企業に対して3つの分野で支援

働き改革支援では、Microsoft 365セキュリティ診断、Microsoft teams体験ワークショップ(グループチャットの利用体験)、Office 365のワークショップ(マイクロソフト社員の使い方も含めて体験)を提供する。

働き改革支援では12月11日、日本マイクロソフトは東京商工会議所との連携を発表。この連携において日本マイクロソフトは、東京商工会議所が展開する「はじめてIT活用」1万社プロジェクトで、中小企業の生産性向上とリモートワークの実現に向けたIT活用支援を行う。

「はじめてIT活用」1万社プロジェクトは、IT未活用・低関心層の60~70代の中小企業の経営者をメインターゲットに、東京商工会議所から3年間で1万社に直接アプローチし、ITを「試してみる」「聞いてみる」ことをおすすめし、商売・業務での「はじめてIT活用」を応援するプロジェクト。

  • 「はじめてIT活用」1万社プロジェクト

マイクロソフトはこのプロジェクトに向け、「Office 365」の無料試用版を3カ月提供するほか、東京商工会議所が実施する中小企業向けIT活用セミナー、IT体験ブースにおいて、講師の派遣とOffice 365の活用紹介の実施。東京商工会議所から中小企業への直接アプローチにおけるOffice 365の紹介に際して、Office 365の活用ノウハウを提供する。

東京商工会議所 理事・事務局長 小林治彦氏

東京商工会議所 理事・事務局長 小林治彦氏は「Office 365による中小の企業の働き方改革は、IT活用の足がかりになる」と語った。

データ活用の改革では、人材育成の支援(オンライン学習プログラムの無償提供や1DAY Azure基礎トレーニングなど)、既存IT環境の診断サービス(デジタルトランスフォーメーションセミナー、既存システムの稼動状況の可視化してクラウド移行メリットを判断など)、クラウド環境の構築支援(Azure活用ウェビナー、1DAYデータ活用ハンズオンワークショップなど)を行う。

  • データ活用に向けた支援策

山口フィナンシャルグループ IT統括部 副部長 高田敏也氏

山口フィナンシャルグループは、山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行が統合した金融グループだが、各銀行のデータ活用・管理が共通化されていなかったため、2019年7月にAzure上に統合データベースを構築。これにより、社員自らSQLを実行して分析できるようになったほか、Power BIによって定型レポートも参照可能になったという。

山口フィナンシャルグループ IT統括部 副部長 高田敏也氏は、「SQL Serverのデータウェアハウスをクラウドに移行することで、処理時間が半減された」とその効果を語った。

そのほか、リンガーハットでは、人材不足、材料の高騰という課題に対して、店舗の社員の事務作業なくすことを計画。データウェアハウスのAzureへの移行、マシンラーニングを利用した売り上げ予測、発注の自動計算と適正化、標準化を実施したという。

リンガーハット 経営管理グループ 情報システムチーム 部長 是末英一氏

リンガーハット 経営管理グループ 情報システムチーム 部長 是末英一氏は、今後はモデルの改良、とんかつなど他業態への展開、在庫入力を自動化を実施していくとした。

そして、スタートアップ企業の変革の支援では、技術支援としてクラウド設計支援、クラウド(Azure/Office 365)の無償提供、顧客支援では、マイクロソフトとの共同販売や大企業との引き合わせ、連携した広報活動やメディアでの連携を行うという。

  • スタートアップ企業の変革の支援

大企業との引き合わせでは、12月16日から「The Connect」という支援プログラムを提供し、大企業とスタートアップとのマッチングを強化。2020年内に100社を目標にプログラムを実施していくという。

日本マイクロソフト 業務執行役員 コーポレートクラウド営業統括本部 統括本部長 三上智子氏

日本マイクロソフト 業務執行役員 コーポレートクラウド営業統括本部 統括本部長 三上智子氏は、中堅中小企業・スタートアップ企業を支援する理由を、「大企業のクラウド化は進んでいるが、中堅中小企業のクラウド化は他国との差が広がっている。中堅中小企業は、デジタル化を何から始めていいのかわらない、セキュリティが怖いなどなかなか一歩を踏み出せない人が多い。そのため、まだまだデジタル化の余地があるので、しっかり支援していきたい。それが、日本の成長に貢献するのではないかと思っている」と説明し、中堅中小企業のマイクロソフトクラウド利用率を現在の46%から50%以上にしたいとの目標を語った。