AMDは12月10日、Radeon Software Adrenalin 2020 Editionの提供を開始した。これに向けて事前説明会が都内で開催され、その特徴の紹介があったので、まとめてレポートしたい(Photo01)。
昨年、つまりRadeon Software Adrenalin 2019 Editionの発表の際にもやはり説明会が行われ、ここで機能追加やAMD Linkの大幅な進化、それと性能改善が果たされていたが、今年も同じ様に様々な変化があった。
まず昨年の「Adrenalin 2019 Edition」のおさらい。2015年からの進化で言えば、平均16の機能が毎年追加され、平均12%の性能改善が果たされ、2018年における安定性の調査で言えば93%という高い安定性のスコアが得られたとする(Photo02)。2019年におけるユーザーの満足度調査では5点満点で4.5点を得られたとしている。特に安定性に関しては、Microsoftより非常に高い安定性を持つとお墨付きをもらった事をアピールした(Photo03)。
そして今年、「Adrenalin 2020 Edition」の新機能である。まずはInstallerの改善(Photo04)。Installerの画面レイアウトも一新され、確かにインストールしやすくなった。2つ目がProfile(Photo05)。"ideal for novice users"とあるように、ある程度慣れているユーザーならば必ずしも不要かもしれないが、あまり得意でないユーザーがパッと動作モードを切り替えられるのが特徴である。ちなみにそれぞれのProfileで何が設定されるか、がこちら(Photo06)である。
次がRadeon Software App(Photo07)。これそのものはトップ画面というか、続いて紹介する個々の新機能を全部まとめて操作できるようにするものである。そのRadeon Software Appであるが、一つ目はGame Center(Photo08)。Steam/Uplay/EPIC/EA/...と、昨今では配信プラットフォーム毎に異なるランチャーからゲームを起動する必要性があるが、これを一か所からまとめて起動できるというものである。正直、それが嬉しいか? と言われると微妙(どのみち裏では個々のランチャーが動くことになるからだ)が、個々のゲームに応じて設定を変更してくれるとか、ゲームのパフォーマンス監視を行ってくれるのはかなり便利と言える。次がSystem Status(Photo09)。AMD Linkの設定も含めて、ドライバの状況なども一覧で見られる。次がMedia&Capture(Photo10)で、もう見て判る通り画面のキャプチャと録画、再生、GIF化がワンタッチで行える。その次がWeb Browser(Photo11)。Makedon氏いわく「ゲームの中で急にWebブラウザで情報をアクセスしたい、なんて場合に役に立つ」そうだ。先のMedia&Captureもそうだが、これらをゲームの内部から呼び出しできるため、便利と言えば便利なのかもしれない。
次からはAppというよりは個別機能であるが、まずはユーザーから要求が一番高かったInteger Display Scaling(Photo12)である。要するに昔の荒い画質をそのまま維持しながら大画面表示を行う、というもので、実際その効果は明確である(Photo13)。
Radeon Anti-Lag(Photo14)そのものはRadeon RX 5700にあわせて発表されているが、これがRadeon RX 5000シリーズ以前での製品でも利用可能になったのが大きな特徴である。同様にImage Sharpening(Photo15)も、DX11でも利用可能になっている。そしてこちらは今回初サポートなる、AIベースのMedia Filterである。利用するAPIはDirectMLである。したがって当然ながらGPUのシェーダの一部を、DirectML用に割く必要がある。これは当然性能へのインパクトが予想されるわけで、Tensor Coreを搭載しているために性能へのインパクトが無いNVIDIAのGeForce RTXとの差でもあるのだが、それがどの程度かに関しては今回明らかにされなかった。
ここからは小改良。Streaming Tabはやや使いやすくなった(Photo17)。Tuning Tabもやはり使いやすさ、見やすさの改良が主である(Photo18)。
そしてOne More Thing。今回初搭載されたのがRadeon Boostである。何をどうBoostするかというと、激しい動きを検出したら、動的に解像度を落としてフレームレートを引き上げる、というものだ。勿論その度ごとに画面解像度そのものを変更していたらゲームが中断するので、おそらく画面レンダリングで勝手にダウンスケーリングを掛け、それをラスタライズするときにアップスケーリングを掛ける形で処理を行っているものとみられる。「激しい動きをしているときには、多少解像度が落ちても気が付かない」(Makedon氏)ということで、これを利用してフレームレートを引き上げるというものだ。ただ何でもOK、というわけではなく今のところ8ゲームのみが対象になっている(Photo20)。このあたりは順次対応ゲームが増えて行くだろう。性能に関しては23%アップとかしているが、ちょっとサンプル数が少なすぎる気がする。これはもう少し追試しないと、どこまで性能が上がるか微妙なところではある。
AMD Linkに関しては、UIが一新された(Photo21)ほか、最大50Mbpsでの転送、及びx265でのエンコードにも対応したのが主な変更点とされる(Photo22)。
というわけで合計20の新機能に加え、昨年リリースのAdrenalin 2019 Editionと比較して最大12%の性能向上(こちらに関しては具体的なゲーム性能などは今回未公開)が果たされたとしている。とりあえず既にこのAdrenalin 2020 EditionはAMDよりダウンロード可能になっている。