米Qualcommは12月4日 (現地時間)、米ハワイで開催中のSnapdragon Tech Summitにおいて、前日に発表した5G対応ハイエンド向けモバイルチップセット「Snapdragon 865 Mobile Platform」のスペックを明らかにした。

Snapdragon 865は5Gモデムを内蔵せず、「Snapdragon X55 5G Modem-RF System」との組み合わせで構成される。Qualcommは同プラットフォームを「次世代のフラッグシップデバイスに最高の5Gモバイル体験を提供する」とアピールしている。搭載デバイスは2020年第1四半期から登場し始める予定だ。

  • Snapdragon 865 Mobile Platform

    Snapdragon 865 Mobile Platform

5Gモバイルプラットフォーム

X55モデムは最大通信速度が7.5Gbpsと高速。モデムだけではなく、RFフロントエンドやRFトランシーバーなども包括的に提供するModem-RFシステムであり、「5G PowerSave」「Smart Transmit」「Wideband Envelope Tracking」「Signal Boost」といった様々なテクノロジを統合して効率的で安定した高速通信を実現する。Sub-6とミリ波、4Gと5Gで周波数を共用するDSS (Dynamic Spectrum Sharing)に対応、グローバル5Gローミング、マルチSIMのサポートなど、複雑な移行期に対応できる5Gソリューションを整えた。

FastConnect 6800モバイルコネクティビティ・サブシステムによって、Wi-Fi 6の通信速度とレイテンシが向上、特に多数のデバイスが存在する混雑した状況における通信が改善している。aptX VoiceがBluetoothを通じたSWB (Super Wide Band)オーディオをサポート。aptX AdaptiveとTrueWireless Stereo Plusとの組み合わせで、ヘッドフォンやイヤホンとの接続の効率性、安定性や動作が向上する。

デスクトップに迫るゲーミング

リフレッシュレート144HzのQHD+または60Hz 4Kのオンデバイスディスプレイをサポート。デスクトップ品質と呼べるようなライティングやポストプロセス効果を利用できるDesktop Forward RenderingをAndroidで可能にし、またオペレーションによってはブレンディング処理が最大2倍になるAdreno HDR Fast BlendなどAdrenoのハードウェア機能を強化、モバイルゲーミングにおけるグラフィックス体験を引き上げる。Adrenoがアプリストアからのドライバ・アップデートをサポートする。OEMによる継続的なドライバのアップデートが可能になり、モバイルゲームの進化に合わせてゲーミング環境をアップデートしていくような柔軟性が広がる。

第5世代のQualcommAIエンジン

AI関連の処理能力が15TOPSと前世代の2倍に向上した。Hexagon Tensor Acceleratorは従来から効率性を35%向上させながら、約4倍のTOPSを実現している。ロック状態でもユーザーの呼びかけに反応したり、ユーザーの声を聞き分けるなど、機械学習の機能やサービスとの仲立ちとして重要な役割を担うSensing Hubが新しくなり、従来よりわずかな消費電力で周囲環境を認識できる。

ギガピクセル速度のISP

Spectra 480 ISP (Image Signal Processor)は、最大2ギガピクセル/秒の処理が可能。4K HDRや8Kビデオ、960fpsの高解像度スローモーション、200メガピクセルの画像など、搭載デバイスでキャプチャできるビデオや写真の幅を大きく広げる。ナイトモードやポートレートなどスマートフォンでコンピュテーショナルフォトグラフィが台頭しているが、第5世代Qualcomm AIエンジンとの組み合わせによって、これまでよりも高速かつ高精度に背景の違いを識別できるなど、コンピュテーショナルフォトグラフィの可能性を広げる。