さてFire HD 10を実際に使ってみた感想ですが、処理性能的にはほとんど不満はありません。電子書籍を読んだり、映画を鑑賞したりといった最も多いユースケースで、待たされ感はありません。

  • 電子書籍のページめくりでもたつきはありません。ただ書籍のダウンロード(および展開)は、最新のスマートフォン、タブレットより明らかに遅いですね ※作者:鈴木みそ氏から掲載許可をいただきました(飲みの席で)

またゲームについては「荒野行動 - 東京決戦」を実際にプレイしてみましたが、画像レンダリングレベル「標準」、省エネモード「OFF」、ドローディスタンス「中高」、フレーム数設定「標準(30フレーム)」、画面タイプ「標準」というデフォルトの設定で、特に気になる遅延はなかったです。

  • 人気のバトルロイヤルゲーム「荒野行動 - 東京決戦」は快適に動作。写真を撮れなかったですが、このあと最後の6人に残りました。ただし光沢ディスプレイは指の滑りが悪いので、やはり非光沢ディスプレイを貼ったほうがよいです

ちなみに「Geekbench 3」のベンチマークスコアを計測してみましたが、Fire HD 10のスコアは「6481」。「Snapdragon 855」(2.84GHz+1.78GHz、オクタコア)を搭載する「Pixel 4 XL」のスコアが「11242」だったので、Fire HD 10はその約58%のパフォーマンスということになります。それでも最新ゲームは快適にプレイできるわけですね。

  • Geekbench 3で計測したFire HD 10のMulti-Core Scoreは6481

  • Geekbench 3で計測したPixel 4 XLのMulti-Core Scoreは11242

ただし今回はAmazonのアプリストアで入手できるGeekbench 3でPixel 4 XLのベンチマークを実施しているため、パフォーマンスを最大限に発揮できていない可能性があります。また当然、機械学習エンジン「Pixel Neural Core」も利用されていません。今回のGeekbench 3の結果はあくまでも参考程度にとどめておいてください。

スマートディスプレイ化する「Showモード」も

本製品から搭載されたわけではないのですが、Fire HD 10には「Showモード」という、スマートディスプレイ「Echo Show」と同じように利用できるモードが用意されています。

音質はスピーカーサイズの大きなEcho Showのほうが当然優れていますが、Fire HD 10はバッテリーを内蔵しているのでスマートディスプレイを持ち歩けるというメリットがあります。また音質面の弱さも、Bluetoothスピーカーと組み合わせればカバー可能です。Fire HD 10とEcho Showシリーズのどちらを買うかで悩んでいるのなら、タブレットとしても使える前者のほうが断然オススメです。

  • Fire HD 10は上から引き出す「クイック設定」の最上部のスイッチで「Showモード」に切り替え可能です

  • Fire HD 10は、ビジネス向けノートPCと比べればよいサウンドを奏でてくれます。とは言え薄型ボディーに内蔵されたスピーカーには限界があります。これ以上のサウンドを求めるならBluetoothスピーカーと組み合わせましょう

カメラ画質はそれなり、ビデオ通話用なら十二分

背面、前面ともに2メガピクセルのカメラを搭載しているFire HD 10のカメラ画質は率直に言ってそれなりです。最新スマホとは比べものになりません。

Fireタブレットシリーズはすべて2メガピクセルのカメラを搭載しています。おそらくAmazonはFireタブレットのカメラをビデオ通話用として捉えているのでしょう。部品として2メガピクセルのイメージセンサーが調達できなくなるまで、カメラ性能がアップグレードされることはないのかもしれませんね。

  • Fire HD 10の背面カメラで撮影(画像情報: 1600×1200ドット (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 2.38mm (35mm換算焦点距離: 31mm)、シャッター速度: 0.050s (1/20)、絞り: f/2.4、ISO感度: 204、測光方式: Center weight)

  • Fire HD 10の前面カメラで撮影(画像情報: 1600×1200ドット (Jpeg,YUV,sRGB)、焦点距離: 2.01mm (35mm換算焦点距離: 26mm)、シャッター速度: 0.050s (1/20)、絞り: f/2.4、ISO感度: 200、測光方式: Center weight)

まるで「悪夢」のような激安タブレットだった!

Fire HD 10の「安さ」はちょっと異常なレベルです。「荒野行動 - 東京決戦」を快適にプレイ可能なタブレットが15,980円で購入できるなんて、まるで「悪夢」のようです。……たぶん、ほかのメーカー様にとって。

Googleサービスを利用できないのは残念ポイントではありますが、ウェブブラウジングできて、Amazonプライム・ビデオやNetflixで配信されている動画コンテンツ、Amazon Kindleの書籍を楽しめるのなら、個人的にはもうごっつあんです(大満足です)。

もちろんハイパフォーマンス&高機能なiPad Proなどは筆者の仕事に欠かせないマストアイテムです。しかし、寝落ちしてベッドから落としてもまったく気にならない、防水じゃないけどお風呂に持ち込んでたとえ壊れてしまっても3日ぐらいあれば立ち直れる低価格を実現したFire HD 10は、同じぐらい必須なアイテムといえます。