ワコムは11月9日、日本科学未来館で開催された「Wonder Make Fes 6」において、小学5年生から中学3年生を対象としたワークショップ「プロクリエイターから学ぶキャラクターデザイン講座」を開催した。ここでは、当時の会場のようすをお伝えする。

キャラクターデザインを学ぶ子ども向けワークショップ

このワークショップは、ゲームのイラストやマンガなどの制作を手がけるMUGENUPのクリエイターらが登壇し、ゲームに登場する人物の外見やイメージといった「キャラクターデザイン」を、参加した子どもたちに教える体験イベント。11月9日~10日に日本科学未来館で開催された、子ども向けIT×ものづくり発表会イベント「Wonder Make Fes 6」のセミナーイベントのひとつだ。

今回、講師を務めたのは、MUGENUPのデジタルクリエイティブ事業部 副部長の越村華子氏だ。越村氏は同社クリエイティブ制作事業の立ち上げから関わってきた人物で、アートディレクターやクリエイティブリーダーとして人気ゲームのキャラクターやアートを多数制作。現在はクリエイターの人材育成など多岐にわたる分野で鋭意活動している。

  • ワークショップの講師を務めた、MUGENUPの越村華子氏

  • セミナー会場は多くの子どもと保護者たちで賑わった

キャラクターの設定や能力は「見た目」でわかるように

この講座に集まったのは、ゲームやアニメのキャラクターデザインに興味を持った小学5年生から中学3年生の16人の子どもたちだ。同イベントは、応募受付を開始した直後から申し込みが相次ぎ、すぐ満席になってしまったという。

まずは、今回の進行役を務めるMUGENUP広報部の秋山公希氏が挨拶したあと、クリエイターとはどんな仕事なのか、同社のクリエイターはどのように働いているのか、液晶タブレットとはどのようなものなのか、といったことを子どもたちにわかりやすく説明した。

ここからは実際に、講師の越村氏による液晶ペンタブレットを使った絵の描き方についての解説へと移った。越村氏は冒頭に、ゲームキャラクターをデザインする際は、ゲーム内におけるキャラクターの「設定」や「能力」などを考え、それらが見た目で伝わるように表現することが大切だ説明した。

  • キャラクターを描くには、その設定や性格、能力が見た目で伝わるように表現する

どんなキャラクターを描くか、言葉で考える

今回子どもたちは、「アリス」「ぼうし屋」という名前から、性格および設定を考えながら、キャラクターのデザインに取り組んだ。越村氏はキャラクターをデザインするにあたり、「どんなキャラクターを描きたいのかを言葉で考える」ようにアドバイスした。こうすることで、キャラクターの性格や見た目などのイメージが浮かびやすいという。

今回の参加者には、液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq Pro 13」が一人ひとりに貸与され、グラフィックソフト「CLIP STUDIO PAINT」を使ってキャラクターを描いていった。なお、今回参加した子どもたちの約半数が、液晶タブレットに触れるのは初めてとのことだ。

  • キャラクター設定画面。このシートをベースに、自分で考えたキャラクターを描いていく

子どもたちは、越村氏からペンツールの使い方や消しゴムによる消し方、ブラシサイズの切り替え方、表示サイズの変更方法といった基本操作を教わっている間も、早速それぞれが思い思いのキャラクターを描いていた。

ここで秋山氏は、輪郭や髪を描く前に、そのキャラクターがカッコ良いキャラなのか、戦うべきキャラなのか、あるいは守られるキャラなのか、といった設定を決めて、それに沿ってイメージを固めていくと良いと補足した。

  • 講師の越村氏が描いた「お菓子の国にいるアリス」

  • 両手を腰にあてて「お転婆」っぽさを表現

今回、越村氏がお手本として描くのは、「お菓子の国にいるアリス」だ。越村氏がペンを走らせている間、思わずペンの動きを止め、プロのキャラクターデザイナーが描いていく様子を食い入るように見つめている子どももいた。

越村氏がサッと描き上げたアリスは、ふたつ結びの髪型にして「幼いイメージ」を出しているという。また、リボンをキャンディ型にしたりビスケット型のボタンを付けたりと、お菓子の国を表現しつつ、ゲームならではの非現実なデザインにしたという。

デジタル彩色の良さはすぐ塗り直せること

実践の後半は、「色塗り」の作業に取りかかった。その際、越村氏の手元にあるPC画面と会場のスクリーンの色が異なっていた部分を修正していたが、その間に秋山氏は、このように色が違っていてもすぐに塗り直せることをデジタルの利点だと説明し、油絵や水彩のように手が汚れないのも良いと加えた。

ひと通りの作業を終えた越村氏は、最後に子どもたちが描いたキャラクターを見て回ったあと、液タブに初めて触れたという子どもたちが、最後の色塗りまで仕上げているのを見てその覚えの早さに驚きの声を上げた。

  • 今回はじめて液晶タブレットに触れたという参加者も、色塗りまでし終えた

越村氏は、「今日は皆さんに液タブで絵を描くこと、そして自由にキャラクターを描くことを楽しんで頂きたいと思っていました。もし皆さんの中にイラストレーターやキャラクターデザイナーを目指したい人がいれば、キャラクターの設定や性格を考えて描くと将来につながると思います」というアドバイスでワークショップを締めくくった。

このイベントで印象的だったのは、ほとんどの子どもたちがこの日はじめて液タブに触れたというのにも関わらず、実践の後半にはかなり慣れた手つきで作業していたことだ。デジタルネイティブ世代の飲み込みの早さだけでなく、好きなことに打ち込むときの子どもならではの集中力と学習能力の高さが感じられた。近い将来、今回の参加者の中からキャラクターデザイナーが誕生することを期待したい。

  • ペンタブレット経験者の中には、レベルの高い作品を描く参加者も。ペンタブレットを使い始めて1年未満とのことだ