凸版印刷は10月18日、AI技術を活用することで、印刷物・デジタル媒体に関する業界・企業特有の表記や専門用語を学習し、企業ごとの基準に合わせて文章の校閲・校正を行う「AI校閲・校正支援システム」を開発したと発表した。同月から全国の銀行やカード、生損保会社など金融業界向けに、サービスとして提供・販売を開始している。
同システムは、凸版印刷がパンフレット・メルマガなどの多種多様な印刷物やデジタル媒体の制作を通じて培ってきた校閲・校正ノウハウを元に開発し、実証実験の成果を踏まえて改良を加え、商品化したもの。
主な特徴として「AIを活用した誤表記検出」「制作レギュレーションの管理」「制作業務に最適なインタフェース」の3点を挙げている。
AIを活用した誤表記検出では、AIが業界・導入企業特有の表記や専門用語を学習することで、各企業が求めている基準に合わせて誤表記を検出するほか、「てにをは」の誤用や漢字誤変換、誤字脱字なども文脈と合わせて判断・検出ができる。
制作レギュレーションの管理に関しては、媒体制作のルールや基準をシステムが管理し、異なる制作者・管理者による品質のばらつきを防止することで、媒体ごとに異なるレギュレーションを複数管理することを可能としている。
インタフェースについては、確認者による完成文書に対するチェックだけでなく、制作段階からの文章チェックにも合わせたインタフェースをそれぞれ提供することで、制作時のチェックからオンラインでの赤字入れ、修正指示出しまでの制作フロー全体のデジタル化・効率化を支援するという。
価格は初期費用が500万円~、運用費用が月額50万円~。今後、同社は同サービスを金融機関に向けて拡販し、2020年度までに20社の導入、2022年度までに関連受注を含めて累計100億円の売り上げを目指す。また、金融機関以外の業界に向けての機能開発とAIによる学習を進め、さまざまな業種・業界へ展開していく考えだ。