にわかファンの存在価値

これらの結果から、ずぶの素人がデータ分析から導き出した解(あくまでも個人的見解であることは留意いただきたい)はこうだ。

ランキングとトレンドの結果では、間違いなく両競技ともにワールドカップの開催時期が近付くと関心も高まる傾向となっているため、開催時期前後のマーケティング施策は重要なものとなる。

現在はそうではないが、筆者は今回のラグビーワールドカップ開幕直前まで開催地にもかかわらず、ラグビー関連の情報が少ないと感じていた(もちろんイベント開催や報道などはしていた)ことから、認知が拡大していないのでは?と危惧したものだ。

ただ、これは杞憂に終わった。なぜなら“にわかファン”が増加したからだ。にわかというだけで決してネガティブな意味でとらえてほしくないが、かく言う筆者も年に数回ほど大学ラグビーをテレビ観戦するだけで、にわかファンを自負している。

そして、にわかファンが増加している一番の要因は、言わずもがなラグビー日本代表の活躍そのものなのだ。仮に全敗していたら怖い結果になっていたかもしれないが、ここまでの日本代表の活躍がにわかファンの増加に大いに貢献していると推測できる。

個人的には、サッカーを例に出せば2002年の日韓ワールドカップが想起される。当時、日本代表が初のベスト16に進出し、国内ではサッカーにそれほど興味がない人でも強く関心を抱いていたし、実際その後は国内スポーツの中でも人気競技となり、プレゼンスが向上している。

このようなことから、ワールドカップ後のマーケティング施策は非常に重要な意味を持つ。前回大会後のトップリーグの試合では空席が目立ち、せっかくの凱旋試合が台無しになってしまったことは記憶に新しい。そのため、にわかファンでも関心を寄せられ、チケットが入手できるような体制の構築が望ましいと考えられる。

また、性別・年代分析に関してはサッカーワールドカップが老若男女問わず関心がある一方で、ラグビーワールドカップは男性の30代、40代、50代からの関心が突出して高く、比率としては男8:女2(サッカーは7:3)だ。これは、ラグビーが女性ファンの獲得に苦慮していることが想定できる。

地域については、サッカーワールドカップは全国的にヒートマップが赤い傾向にある。しかし、ラグビーワールドカップでは北海道や岩手県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県、熊本県、大分県をはじめとした試合会場を構える都道府県では関心があるものの、その裏返しとして開催地ではない地域については関心が低い傾向となっている。

ラグビーに必要なものとは

今回の分析で判明したことは、ラグビーの人気は確実に高まっているということだ。ただ、ワールドカップ後は女性ファンの獲得や、にわかファンからファンになってもらうために競技ルールの浸透、試合開催に合わせたイベント、それ以外のイベントなどを全国的に展開していくことが必要だ。

そして、なによりも日本代表の活躍を見た子ども達が“ラグビーをやりたい!”と思えるよう、競技人口の増加につなげることも重要だ。もちろん、日本ラグビーフットボール協会でも親子イベントを開催するなど競技人口の増加に向けたプロジェクトを進めている。

今回の盛り上がりを一時的なものとせず、国内ラグビーのレベルアップやファン層の拡大など息の長い強化策を継続することで、今後も“強い日本代表”に期待したいところだ。