日立ジョンソンコーントロールズ空調は9月3日、同社のエアコンの最上位機種「白くまくん」プレミアムXシリーズを発表しました。新製品の最大の特徴は、室内機だけではなく室外機の熱交換器にも熱交換器の自動清掃機能を搭載した点。また、気になるカビの発生を抑える新機能もあります。

Xシリーズは冷房能力別に6畳用から29畳用までの全11機種をラインナップ。価格はオープンで、市場推定価格は税別で250,000円(6畳用)から400,000円(29畳用)前後。発売は10月末になります。

  • 日立のエアコン最上位機種となるXシリーズの最新モデル。上が室内機、下が室外機

  • センサーやリモコン受信部がスリット内に集約された室内機は、全体的にシンプルでインテリアを邪魔しないデザインです

業界ではじめて室外機の凍結洗浄機能を搭載

エアコンといえば室内に設置される「室内機」ばかりが注目されがち。ですが、温度のコントロールには「室外機」の存在もかかせません。

室内機、室外機ともに内蔵しているのが「熱交換器」とよばれる部品。エアコンは冷房時に室内機内の熱交換器で熱を吸収し、室外機内の熱交換器で熱を発散させます。ところがこの熱交換器、効率よく熱を吸収、発散させるため金属板がパイのように何重にも重なった構造になっています。しかも板と板の間が1mmほどと狭いので、汚れが入り込むと洗うのが非常に難しい形状なのです。

  • 約9年使用したエアコン室内機を分解したところ。熱交換器の間にホコリやカビと思われる汚れが大量に溜まっています。エアコンを使って「カビ臭い」と感じる場合は、熱交換器が汚れている可能性があります

熱交換器が汚れると、汚れを媒介としてカビが発生したり、熱交換器本来の目的である「熱の吸収や発散」の効率が落ちることで冷房や暖房性能が低下したり、性能低下により無駄な電気代が発生したりといった弊害があります。そこで、日立が2017年モデルから採用しているのが、熱交換器の「凍結洗浄」機能です。これは、熱交換器を急速冷却させることで大量の「霜」を発生させ、この霜を一気に解凍することで汚れを洗い流すというものです。

  • 会場にあったXシリーズ室内機の新モデル。「凍結洗浄」がはじまると数分で熱交換器が凍結されて霜で真っ白に!

  • この霜の正体は空気中の水分が結露したもの。霜を解凍することで、熱交換器に付着した汚れを水で洗い流します

  • Xシリーズは、風を起こすファンを自動お掃除する「ファンロボ」機能も搭載。ファンを逆回転させて内蔵したブラシでファンのホコリを清掃します

もちろん、熱交換器が汚れることで性能低下を起こすのは室内機だけの話ではありません。室外機の熱交換器の汚れも性能に大きくかかわってきます。そこで、新モデルのXシリーズは室外機にも「室外熱交換器自動お掃除」機能を搭載しました。同社によると、これは業界でははじめての機能だそうです。

  • 屋外に接地する室外機の熱交換器ももちろん汚れています。こちらは会場に展示されていた室外機の熱交換器。なにかの種であろう綿毛やホコリなどの汚れがビッシリ張り付いています

「室外熱交換器自動お掃除」で行う動作は大きく2つ。ひとつが、エアコンを停止するたびに実行するファンの逆回転。これにより、室外機の熱交換器にはりついた、枯れ葉や綿毛などの大きなゴミを吹き飛ばします。ただし、これだけだと土埃のような細かな汚れは落としきれません。そこで、2カ月に一回の周期で、室外機の熱交換器も凍結洗浄します。

  • 凍結洗浄中で霜が張って真っ白になった室外機の熱交換器(熱交換器が直接見えるようにパネルを外した状態)

  • 本体下部から解凍した水がポタポタと落ちているのがわかります ※音が出ます

室外機の凍結洗浄を早送りで動画にしたもの。ファンの汚れが水にとけて茶色い水が流れ落ちているのがわかります

  • 新機能である室外熱交換器自動お掃除のほか、室内機の凍結洗浄、ファンロボの3つの機能をあわせることで、約7%ほど無駄な電気代をカットできるといいます

気になるカビを365日24時間しっかりチェック

新製品のもうひとつの新機能が、365日24時間カビをチェックし、カビの発生を抑制する「カビバスター」機能です。カビバスター機能はエアコンを動作させていない場合も常に室内機内の湿度や温度をモニタリング。カビが繁殖しやすい湿度70度以上、かつ気温が5~45度以内の環境が24時間以上累積すると、カビを抑制するプラズマイオンを本体内部に充満させます。

  • プラズマイオンをエアコン内部に放出するだけではなく、ファンを最適な回転数で逆回転させることで、効率的にイオンがエアコン内部全体に充満するように工夫しています

カビが発生しやすい湿度70度以上、かつ気温が5~45度以内の環境が168時間以上続いた場合は、さらに「短時間でカビが死滅する湿度と温度」といわれる湿度40%以下、かつ温度が40度以上という環境をエアコン内に作り出します。これにより、エアコン内部に発生したカビを短時間で抑制できるそうです。

  • カビが発生しやすい環境が長時間続くと、次にカビが死滅しやすい低湿度・高温の環境を作り出します。この加熱・低湿制御の運転時間は約20分ほど

【カビバスターなし版】。特殊な可視光線をあてることで、エアコンから排出されるカビを見えやすくした動画。カビバスターを使用していないエアコンは、大量の粒子が排出されているのがわかります

【カビバスターあり版】特殊な可視光線をあてることで、エアコンから排出されるカビを見えやすくした動画。カビバスターありのエアコンはじっと目をこらすと時折チラリと光るものが見える程度です

日立の調査によると、エアコンに対する不満点の1位は「暖房の電気代が高い」、2位は「冷房の電気代が高い」、そして3位は「室内機の内部の汚れが気になる」だそう。今回の新モデルは室外熱交換器の自動お掃除機能で、熱交換器の汚れが生む無駄な電気代をカット。さらに、カビバスターの搭載により、室内機内の気になるカビ汚れを抑制します。

今回の新機能は清潔性に関するものでしたが、もちろん従来までの「くらしカメラ AI」にも対応。人や物の位置を把握して快適な気流制御をする機能や、人を識別して体感温度に合わせた冷やし方や温め方をする高度な機能も搭載しています。