Microsoftは米国時間2019年7月1日、スローリングを選択しているWindows Insider Program参加者に向けて、Windows 10 ビルド18362.10000(19H2)の配布を開始した。Windows 19H2は、2019年9月のリリースを目標に掲げている。Microsoftは公式ブログで「パフォーマンスの向上、エンタープライズ機能、そして品質の向上」を予定していると述べており、大きな変化が加わらないことを暗に認めている。

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    スローリングに展開が始まったWindows 10 19H2

もちろん、Microsoftの言動がブレたわけではない。Windows 10への新機能に関しては、20H1での実装を目指すと以前から明らかにしている。最新のWindows 10 バージョン1903がビルド18362.175であることにも注目し、バージョン1903からフォーク(ソースコードを分岐)した存在と捉えると分かりやすいだろう。

興味深いのは提供方法だ。従来のWindows 10 Insider Previewは、May 2019 UpdateやOctober 2018 Updateといった機能更新プログラム(Feature Updates)と同じようにイメージファイルを配布していたが、Windows 10 19H2は累積更新プログラム(Cumulative Update)だった。

これについてMicrosoftは、別の公式ブログで「毎月のアップデートプロセスなどに用いるサービステクノロジーを使用しているため、これまでよりも早いアップデート体験を得られる(意訳)」と説明している。

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    19H2は累積更新プログラムとして配布される

さて、ファーストリングを選択しているインサイダーの読者諸氏にはお分かりいただけると思うが、新ビルドの適用には結構な時間が必要だ。筆者はSurface ProとSurface Goをファーストリングで運用しており、取材前に新ビルドが降ってきた場合は延期設定をしてから外出している(特にSurface Goでは適用に数時間を要する)。

現行の20H1は、米国時間2019年7月3日にリリースしたビルド18932も従来どおりのイメージ形式だった。機能更新プログラム(いわゆる大型アップデート)の配布が累積更新プログラム形式に変わることで、Microsoftがいうようにアップデート体験の改善に期待したい。

なお、19H2のEnterprise、EducationおよびEnterprise IoTエディションは、30カ月間のサポート対象となる。Cortanaも検索機能と分離し、Microsoft Store経由で提供するように、Windows 10の商用利用強化を推し進めるようだ。

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    Microsoft Storeで配布が始まったCortana。利用にはビルド18362以降が必要となる

阿久津良和(Cactus)