シャープは7月2日、コードレススティック掃除機「RACTIVE Air POWER EC-SR3」(以下、SR3)シリーズを発表しました。シャープのRACTIVE Airシリーズといえば、本体の軽さが特徴ですが、今回発表されたRACTIVE Air POWERは名前の通り、従来モデルより「パワフルさ」と「バッテリーのスタミナ」が大きくアップしています。

SR3シリーズは、付属品の数が多い上位モデル「EC-SR3SX」と、標準モデル「EC-SR3S」の2種類。いずれも価格はオープンで、推定市場価格はEC-SR3SXが90,000円前後(税別)、EC-SR3SXが80,000円前後(税別)です。どちらも発売日は7月25日。発表会に参加した所感をお届けします。

  • プレス向け発表会の会場に展示されていた「RACTIVE Air POWER EC-SR3」シリーズ。上位モデル「EC-SR3SX」はピンクとシルバーの2カラー。標準モデル「EC-SR3S」はシルバーのみ

コードレススティック掃除機は2極化の傾向に

最近のコードレススティック掃除機は、大きく2タイプに分類できます。1つ目は、メイン掃除機として家中を隅々まで掃除する「パワー重視モデル」。2つ目は、汚れが気になったときサッと掃除するのに向いている「軽量重視モデル」。

これまでのRACTIVE Airシリーズは軽量重視モデルにあたり、2019年6月13日に発売されたばかりの「RACTIVE Air EC-AR3(以下、AR3)」シリーズも、本体、バッテリー、パイプ、ヘッドを合わせて1.5kgと非常に軽量なのが特徴でした。

軽さで人気のRACTIVE Airシリーズですが、今回発表されたSR3シリーズは、軽さを実現しながらパワフルな集じん力とバッテリー持続時間の長さも重視し、RACTIVE Airシリーズ初の「パワー重視モデル」となりました。2019年は、軽量重視モデル「AR3」シリーズと、パワー重視モデル「SR3」シリーズの2ラインで展開します。

  • 今回発表されたRACTIVE Air POWER「SR3」シリーズ(向かって左2モデル)と、6月13日に発売されたばかりのRACTIVE Air「AR3」シリーズ(向かって右2モデル)。RACTIVE Airシリーズは「軽量重視モデル」と「パワー重視モデル」の2ライン展開となりました

RACTIVE Airシリーズ最強の吸引力

RACTIVE Air POWERは、本体内部に大風量の高圧3Dファンモーターを搭載。さらに、大容量の25.2Vバッテリーを採用しました。集じんカップ容量も、従来モデルの0.13Lから0.2Lになったことで、カップ内のゴミ遠心分離効率もアップ。フルパワー時の吸引力は、2018年モデルのRACTIVE Air「AR2」シリーズと比較して、約1.5倍になったといいます。

吸引力の違いをわかりやすくデモンストレーションした様子

  • 今回発表されたSR3と2018年モデル「AR2」で5秒間、1つあたり2gの鉄球を吸引しました。吸引できた鉄球の重さは、新製品SR3が1,234g(写真右)、AR2が418g(写真左)でした

集じん能力を上げるため、ヘッドのバンパーも刷新。SR3の床掃除用ヘッド前部にはピンク色のバンパーを搭載しており、このバンパーが壁に当たると自動で吸引力をアップする「スミワザ」機能を備えています(自動モードでの運転時)。バンパーは壁に当たると内側のブラシと密着する構造のため、壁とブラシの間のゴミも強力に吸引。いままで、何度もヘッドを動かして掃除する必要があった壁際の砂ゴミなども、掃除しやすくなっています。

  • SR3の床掃除用ヘッド。ヘッド前部にピンク色のバンパーがあり、このバンパーが壁に当たると吸引パワーを自動でアップ。ヘッド内の機密性も高め、壁際のゴミをより強く吸い取れるようになりました

SR3で壁際のゴミを吸引するところ。ヘッドが壁に当たると運転音が変化し、吸引力がアップしているのがわかります

軽量モデルAR3で壁際を吸引したところ。大きなゴミが邪魔をして、うまく吸えなかった粉が壁際に残っています

SR3は、壁際以外の掃除パワーも強力。細かな毛ゴミをはり付けたカーペットを掃除すると、ヘッドが一度通っただけで、ほとんどのゴミがとれているのがわかります

  • 絡まった毛ゴミを掃除したあとのブラシ。吸引力の強さとバンパーにより、掃除後もブラシにゴミが付いていません

最大120分も掃除可能に

集じん力アップとともに目立ったのがバッテリーの強化。バッテリーは従来の5セルから7セルにアップし、バッテリー1個あたり約60分の運転が可能になりました(弱モードの場合)。上位モデル「EC-SR3SX」は、バッテリーが2つ付属するため、バッテリーを交換して運転すれば最長で約120分の連続運転が可能です。従来モデルの連続運転時間は約30分(弱モード、バッテリー1個あたり)だったので、バッテリー1個あたりの持続時間は約2倍に増えた計算です。

  • 本体上部に飛び出るように配置されている着脱式バッテリー。コードレス掃除機の多くは、充電台に本体をセットすることで充電しますが、RACTIVE Airシリーズはもともと、バッテリーを取り外して付属の専用充電器で充電する方式。充電のたびにバッテリーを外す手間はありますが、予備バッテリーを掃除中に充電できる大きなメリットもあります

  • バッテリーが5セルから7セルになったことで、スタミナはアップしましたが、そのぶん大きく、重くなりました。写真左が従来モデルのバッテリー、写真右が新型SR3のバッテリー

細部まで気遣い

発表会で使って便利に感じたのが、大きくなったダストカップの存在。従来モデルは集じん容積が0.13Lとかなりコンパクトで、頻繁にゴミを捨てる必要がありました。SR3は吸引力アップとバッテリー持続時間の伸びに合わせて、集じん容積を増やしているのが好印象です。

また、一般的なサイクロン式ダストカップは、中心部分に髪の毛が絡まることがよくあります。SR3はサイクロン部分にカバーをセットすることで、髪の毛などの絡まりを防ぎます。カバーを外せば、長い髪の毛も簡単に除去できるようになっていました。

  • SR3のダストカップ(写真左)と、従来モデルのダストのカップ(写真右)。見た目から、大きさにかなり違いがあるのがわかります

  • サイクロン部の中心を覆うようにカバーを配置。髪の毛が絡まっても、簡単に除去できるようになっています

バッテリーの大容量化や吸引力アップ、ダストカップの大型化など、さまざまなパーツが強化されたため、SR3の重さは1.9kgになりました(本体、バッテリー、パイプ、ヘッドを合わせて)。軽量重視モデルAR3シリーズの重さは1.5kg(本体、バッテリー、パイプ、ヘッドを合わせて)なので、それと比べると少し重たくなっています。ただし、SR3は自走式ヘッドを搭載し、床掃除するとき手にかかる負担は2018年モデルのAR2シリーズに比べて、3割ほど軽減されているといいます。

SR3で床を掃除してみると、驚くほど動きはかろやかでした。重さが気になるのは、付属アクセサリーを使用し、本体を手に持った状態で高い場所などを掃除するときでしょう。たしかに持ち上げてみると、従来モデルよりもずっしりとした重みを感じます。

上位モデル「EC-SR3SX」のパッケージには、バッテリー×2、充電器、コンパクトふとん掃除ヘッド、延長ホース、はたきノズル、ベンリブラシ、スグトルブラシ、すき間ノズル、クリーニングブラシ、スタンド台が付属。標準モデル「EC-SR3S」のパッケージには、バッテリー×1、充電器、ベンリブラシ、スグトルブラシ、すき間ノズル、クリーニングブラシ、スタンド台が同梱されます。

SR3は従来モデルより400gほど重くなりましたが、吸引力アップや運転時間の延長など、重くなっただけのメリットは十分に感じられました。シャープは6月に軽量タイプのAR3を発売したばかり。軽さを追求し、スポット掃除に使いやすいAR3と、パワフル高性能で家じゅうを掃除できるSR3。ユーザーが自分のライフスタイルに合わせて、自分にあった掃除機を選択できるようになったのは嬉しい限りです。

  • 豊富な付属ブラシも魅力のひとつ

  • 角度を曲げて使える「はたきノズル」を使うことで、エアコン上のように普段メンテナンスしにくい場所も掃除できます

  • 今回のSR3では、RACTIVE Airシリーズ初のスタンドが付属。充電機能はなく、単純に本体を立てておくだけのシンプル仕様です

  • 本体は自立しませんが、本体背面に「ちょいかけフック」を用意。このフックを利用することで、テーブルや椅子などに本体を立てかけられるようになっています

  • 従来モデルと比べ、400gほど重さが増えましたが、吸引力アップや運転時間の延長など、重くなっただけのメリットは十分にあります。軽さを追求するAR3か、性能のSR3か。自分のライフスタイルに合わせて選択することになりそうです