選択のポイントはクレジットカードの必要性とインバウンド対応

前のページで紹介したQRコード決済対応サービスだけでも11に上るが、これらのほかにもキャッシュレス決済サービスはまだまだある。そうなると、どのサービスを選ぶべきか悩ましいだろう。

店舗側からすると、まず考えるべきはクレジットカード対応機能だ。日本人はクレジットカードを使いたがらないが、インバウンドの旅行客はよく利用すると言われている。2020年に向けてインバウンド対応を強化したいなら、クレジットカードへの対応は考えたいところだ。まだクレジットカード決済ができていないのならば「Airペイ」や「楽天ペイ」といった包括型のサービスを選択すると便利だろう。どちらも、交通系ICカードに対応可能だ。

一方で、すでにクレジットカード対応はできていてQRコード決済に対応したいのなら、QRコード決済だけのものを選択したほうが楽かもしれない。中には、既存のPOSレジにカスタマイズで対応してくれるサービスもある。逆に、クレジットカードに対応する必要がないならば、現金レジの横にQRコードをプリントしたPOPを掲示するだけの方式が楽だろう。

特に、中国からの来訪者については、AlipayとWeChat PayというQRコード決済が外せない。次点は、銀聯QRといったところだろうか。立地や業種的に中国人利用者が多いと見込めるなら、ぜひ対応したいところだが、個別導入は難しい。対応している国産サービスを選択するのがオススメだ。

日本人対応メインなら銀行系に注目

顧客の大半が日本人であるというならば、銀行系の「J-Coin Pay」や「ゆうちょ Pay」に注目したい。どちらも銀行口座にひもづけ、口座の残高範囲で決済を行うデビットカードのようなサービスだ。

「J-Coin Pay」の運営はみずほ銀行だが、全国の金融機関が対応している。「ゆうちょ Pay」はゆうちょ銀行単独のサービスだが、複数の金融機関が加盟しているASP「銀行Pay」に対応している。また2019年秋には、1000以上の銀行が参加するといわれる「Bank Pay」もスタート予定だ。

  • 「ゆうちょ Pay」アプリの画面

店舗側としては、どのQRコードを提供するのかは悩ましく、将来的な相互接続などを期待したいところではあるが、銀行ならではの安心感は付随サービスなどから利用者増を見込めるかもしれない。

Apple PayやGoogle PayはIC決済環境が必須

最後に、QRコードを使わないスマートフォン決済についても触れておこう。スマートフォンを利用した決済といえば、iPhoneで利用できる「Apple Pay」と、Android端末で利用できる「Google Pay」がメジャーだ。

どちらも、利用方法はICカードリーダーにスマートフォンをかざす形になる。利用できる決済手段は、Apple PayがSuicaとiD、Google Payがクレジットカードやデビットカード、各種電子マネーとなっている。つまり、店舗側としては、ICカードリーダーを持つレジを備えていなければ対応できない。

したがって、Apple PayやGoogle Payにも対応したいという場合、iDやSuiCa対応のサービスを選んでおくのがオススメだ。

  • 「Google Pay」アプリの画面