COMPUTEX TAPEI 2019に出展、あるいは近郊でショーケースを行なっていたNASメーカー各社の新製品や新技術などを紹介しよう。

ASUSTOR

ASUSTORは直前に発表したゲーミングNAS「AS5202T」「AS5304T」をデモ。2.5GbEを2系統備え、チーミング可能としているのが特徴だが、さすがに1本しかLANケーブルは接続されていなかった。

  • ゲーミングNAS「AS5202T」「AS5304T」(各段右)

スタッフによれば、ゲームで活用するなら標準のSambaを用いるよりもiSCSI接続を用いるほうが高速とのこと。高速なiSCSIを用いて外付けドライブのように扱い、そこにゲームをインストールするのがベストらしい。

  • そのデモでは、iSCSI接続を用いてNASの性能を引き出していた

このほかに、現在ソフトウェアのアップデートを急いでいるという。その1つがEZ Sync Manager。NAS上のフォルダとPC上のフォルダを数ステップのカンタンな設定でリアルタイム同期できる。同期するファイルタイプもチェックボックスで選択できるので、写真だけ同期、映像は同期しないといったルールが作れる。

  • 新アプリ「EZ Sync Manager」

  • 数ステップでPC内ローカルのフォルダとNAS上のフォルダを同期させる設定ができる

  • 同期するファイルの種類を選択できる

また、NASメーカー全般に言えるが、「ストレージ」としてのNASはもはや当然で、展示も「ストレージ」としては、そこまで力の入ったものはない。ASUSTORであれば監視カメラ制御用途をデモしており、カメラ4台までなら無料で利用できる点をアピールしていた。

また、Synologyは後述するアプリによる新しいビジネススタイルを、QNAPは監視カメラを発展させ映像から何らかのデータを生み出すようなデモに力を入れていた。

  • ASUSTORのNASはIPカメラ4台までなら追加ライセンスなしに利用できる

QNAP

QNAPはこのところ10GbEなどネットワーク機器にも力を入れている。すでに10GbEハブが投入されているが、今回展示されていたQSW-308-1CとQSW-308Sは、もう1段エントリー寄りの製品だ。既存の1GbE製品からのアップグレード向けで、QSW-308-1Cは8ポートの1GbEと1ポートの10GbE、2ポートの10GbE SFP+を搭載、QSW-308Sは8ポートの1GbEと3ポートの10GbE SFP+ポートを搭載する。

  • QNAPの新製品(発表済み・発売済み製品も含む)

  • GbEと10GbEを共存、あるいはSFP+で将来的に拡張できるスイッチングハブ、QSW-308-1CとQSW-308S

QWU-100は、リモートからWake-on-LANを制御する小型のボックス。QNAP機器ユーザーが利用できるmyQNAPcloudを経由し操作するもので、WOLの柔軟なスケジューリングや管理、モバイルアプリからの制御が可能になるという。そのほかQNA-32G2FCは32Gbのファイバーチャネルを2ポート搭載した拡張カードだ。

  • 左は32Gbファイバーチャネルを2ポート搭載するQNA-32G2FC、右はWoLをリモート制御できるコントローラQWU-100

Synology

Synologyは、新北市板橋区にある本社1Fでショーケースを開催していた。まず入り口には、本社内(および各地の事務所)でどのように自社製品を運用しているのか、データの経路図を示したパネルが展示されていた。

ストレージだけでなく、メールサーバや監視カメラなどのデータが、本社内でのバックアップだけでなくオフサイトにもバックアップされるといった具合で、企業内におけるバックアップのお手本といったものだ。

  • エントランスに展示されていた、同社のネットワーク製品とそのデータ経路を記した図

DVA3219はビデオ解析用製品。ストレージとしては4ベイで、CPUにはAtom C3538(4コア)を搭載。特徴的なのがNVIDIA「GTX」を搭載する点。完全に本体内に搭載されており、背面を見てもビデオカードのような映像出力は見当たらない。

GPUを活用して映像をリアルタイムで解析するわけだ。行き交う人を数えたり、人の流れを追跡したりといったことが可能になるという。

  • 映像解析向けのDVA3219

NASのDiskStationシリーズでは、DS620slimとDS419slim。ともに2.5インチモデルで前者は6ベイ、後者は4ベイ。前者は高性能モデルでGbEを2系統搭載し、10GbEモデルほどではないが、SSDとの組み合わせで高速転送を求めるニーズに向けた製品。後者はDS416slimの後継で5月下旬に発表されたばかり。CPUがArmada 385(2コア、1.33GHz)に引き上げられている。

  • 2,5インチ6ベイのDS620slim

  • CPUクロックが引き上げられた2.5インチ4ベイモデルDS419slim

アクセサリとしては、E10M20-T1カードが展示されていた。PCI Express拡張スロットを搭載するNASも増えているが、そこに挿せるカードは1本であることが多い。10GbEにするか、M.2 NVMe SSDにするか悩む方も多いとのことで、では2つを1枚にしたらというのがこのカードだ。SSDはカード後部のヒートシンクの下に、10GbEはブラケットにポートが搭載されている。

  • 10GbEとM.2 NVMe SSDスロットのコンボカードE10M20-T1

デモンストレーションでは、Synology Driveアプリを中心とした同期やバックアップの流れ、Unified Controller UC3200を用たフェイルオーバーの実演などが行われていた。前者はデータをクラウド(同社NAS)上に置き、エクスプローラからは通常のフォルダ&ファイルの感覚で利用できるが、ファイルの編集は必要な際のみダウンロードする方法でSSD化したPCのストレージを圧迫しない。後者は2Uサイズのきょう体に左右2台のユニットを並べて冗長性をもたせたシステムだ。

  • フェイルオーバーのデモやDriveアプリのデモなどを行なっていた