世界初の全自動衣類たたみ機「ランドロイド」を開発するセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが4月23日、東京地裁から破産開始決定を受けました。仮価格185万円で先行予約を受け付けていただけに、今後の動向が気になります。同社広報に聞きました。
ランドロイドの経緯、夢の家電は夢と終わった
まず、ランドロイドの経緯をまとめてみましょう。2014年設立のセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが開発した、全自動洗濯物たたみ機「ランドロイド」は、AI技術、画像認識、ロボティクスを組み合わせた家事ロボット。大型クローゼットに洗濯物を入れると、洗濯物を自動でたたんでくれるというもの。夢の家電として注目を集めました。
2015年のCEATECで参考出品したランドロイド、「2017年に折りたたみ専用モデルをリリースする」としていました。衣類を1枚ずつつかみ、広げ、折りたたみというのが特徴。さらに設定すれば家族の衣類を自動で仕分けてくれるとしていました。
翌2016年には、パナソニック、大和ハウス工業、SBIインベストメントが運営するファンドなどを引受手とした第三者割当増資、技術開発提携および販売提携により60億円の資金調達を実施。
2017年5月からは販売受付を開始。東京・表参道で行われたメディアイベントで「仮の価格は185万円(税別)」としていました。
しかし、2017年中に発売されることなく発売延期。その理由として、「滑りやすい素材やゴワゴワかたい衣類など、自動折り折りたたみが苦手な衣類があったため」と説明しており、当時は「2018年度後半になるが、2019年3月までには必ず出荷する」と、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根信一代表取締役社長は述べていました。
2018年9月には、ランドロイドの製品化を目的として、パナソニック、大和ハウス工業を引受先とする第三者割当増資により、総額約10億円の資金調達を完了したと発表。ただし結果として、2018年度中に製品が発売されることはありませんでした。
帝国データバンクによると、負債総額は約22億5000万円。子会社のセブン・ドリーマーズ・ランドロイドも、破産手続きを行っています。
事業は停止、今後は未定
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの広報担当者は、筆者の電話取材に次のように答えました。
「現在、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズおよび子会社のセブン・ドリーマーズ・ランドロイドは事業を停止しております。ランドロイドの開発についてはストップした状態です。ランドロイドの事業譲渡の可能性については、現時点では未定です。
なお、睡眠中に気道を確保していびきの解消を助ける『ナステント』については、現在も患者様がいらっしゃりビジネスとして動いているため、裁判所から許可がおりて事業を継続することになっております。
ランドロイドの先行予約をいただいたお客様については現在、管財人と協議中です。今後のことは決定次第、予約をしてくださった方にご連絡いたします」とのことでした。
筆者は、ランドロイドのメディア向けイベントでデモを見たことがあります。Tシャツを1枚たたむのに3分から4分かかること、185万円という高額の売価設定を聞き、実用化はまだまだ先なのかなと心配しつつも、洗濯物をたたんでくれるという機能は魅力的で、発売を心待ちにしていました。
一部の家電量販店では、Webサイトにランドロイドの特設ページを設けており、お店からも期待されている製品だったはず。先行予約した人などに対して誠実な対応がされることを願っています。
ランドロイドの開発は現時点では停止。今後は未定とのことですが、コンセプトとしてはとても魅力的な製品。夢に終わらず、いつか製品化されてほしいものです。そのときは、洗濯、乾燥、たたむ、仕分け、収納が一台でできるようになってたらいいなぁ~。