富士通は4月15日、理化学研究所(理研)と共同で進めてきた、スーパーコンピュータ「京」の後継機であるポスト「京」の設計を完了し、ポスト「京」のハードウェアを製造・出荷し、設置を進めることについて、理研と正式契約を締結したことを発表した。あわせて、この開発を通じて培った技術を活用した商用スーパーコンピュータを製品化し、2019年度下期に販売開始することも発表した。

富士通は、2014年10月から理研とともにポスト「京」の基本設計を開始し、様々な分野のアプリケーション開発者と協調設計を実施しつつ、システムの詳細設計・試作を進めてきた。

2018年11月、総合科学技術・イノベーション会議でのポスト「京」の開発についての中間評価において、開発目標について達成の見通しが得られており、システムの設計結果に基づき製造・設置を着実に推進することが適当であると評価されたという。

これを受けて富士通と理研は、ポスト「京」のハードウェアの製造を開始し、順次、出荷と設置を進めていくための正式契約を締結した。ハードウェアの製造は富士通ITプロダクツで行い、現在「京」が設置されている理研 計算科学研究センターへ設置する。

ポスト「京」は、富士通がが開発した高性能CPU「A64FX」を搭載し、Arm命令セットアーキテクチャーにより幅広いソフトウェアに対応する汎用性を持つほか、超並列、超低消費電力、メインフレームクラスの高い信頼性などを実現する。

また、オープンソースコミュニティと連携して、Armエコシステムの推進、ポスト「京」でのオープンソースソフトウェアの活用、ポスト「京」で創出された成果の展開などを進めていくということだ。

富士通は、ポスト「京」の開発を通じて培った技術を生かして商用スーパーコンピュータの製品化を行い、「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」の後継機として、2019年度下期にグローバルに販売を開始する予定であるととももに、同技術をさらに幅広く展開するために、エントリモデルの開発や他ベンダーへの供給なども検討するということだ。

なお、同社はポスト「京」開発への取り組みについて、5月17日に東京国際フォーラムで開催する「富士通フォーラム2019」にて紹介するという。