ダイソンは3月20日、コードレススティック掃除機「Dyson V11」(以下、V11)と、日本向けに開発した「Dyson V7 Slim」(以下、V7 Slim)を発表しました。どちらもダイソン直営店、ダイソン公式オンラインストアですでに発売しています。家電量販店では4月3日から販売開始する予定です。一足先に実機に触れた感想をお届けします。

  • 「Dyson V11」と「Dyson V7 Slim」

    写真左が「Dyson V7 Slim」、右が「Dyson V11」

  • 新しく発表されたDyson V11を手にするダイソンコードレスクリーナー製品開発部責任者のケビン・グラント氏(写真右)。Dyson V7 Slimを持つのは、ダイソンフロアケア部門のデザインエンジニアのサム・ツイスト氏(写真左)

新モーターで吸引力と静音性アップ

V11は一見すると、昨年(2018年)に発表されたコードレススティック掃除機「V10」とよく似た外観をしています。ですが触ってみると、さまざまな部分が使いやすくなっていることを実感できました。

  • ダイソンのコードレスクリーナーで最上位モデルとなる「V11」

前モデル「V10」との大きな違いは、搭載されているモーターです。V11はデジタルモーターV11(以下、DDM V11)を内蔵。DDM V11の回転数は毎分12万5,000回転と、従来のV10と同じですが、異なっているのがディフューザー(風を増幅させる部分)。V10が1つのディフューザーを搭載していたのに対し、DDM V11は3段階のディフューザーを採用しています。1つ目と2つ目のディフューザーが空気の流れを整えて気流を発生させにくくすることで、吸引力をアップさせました。3つ目のディフューザーは、騒音を低減する役割があります。V10と比較すると、吸引力は25%アップ、運転音は11%ダウンしました。

  • 写真左は、2018年に発表されたV10のデジタルモーター。右が今回発表されたDDM V11。モーターの先に配置されている半透明の白いパーツがディフューザーです。DDM V11は、3つのディフューザーが繋がった形になっています

吸引力の違いを「水を吸い上げる高さ」でデモンストレーション。左がV11、右がV10で水を吸い上げたもの。V11のほうが水を高く吸い上げているのが目視できます

最初がV10の動作音、あとがV11の動作音です。個人的な感想ですが、「キー」という高音の不快感が減った気がします

バッテリー残量を秒単位で確認可能に

もう1つ大きな進化が液晶ディスプレイの搭載です。V11は持ち手部分のフィルター背面に液晶ディスプレイを搭載し、「現在の運転モード」や「バッテリー残量」、「エラー原因と解消方法」などが表示されるようになりました。

液晶ディスプレイ下部には銀色のボタンがあり、このボタンを押すことで運転モードを「エコ」「中」「強」の3段階で切り替え可能。モードを切り替えて一定時間が経つと、バッテリー残量が秒単位で表示される仕組みです。

バッテリー残量がわかるコードレス掃除機は、これまで他メーカーでもいくつかありましたが、バッテリー残量を3段階~5段階でざっくり知らせる方式のものがほとんど。「掃除機があとどれくらい使えるかがよくわからない」という課題がありました。V11のように、残り運転時間が秒単位で表示されれば、漠然と「バッテリーが切れる前に早く掃除を終わらせなければ」と焦る必要もなくなりそう。実際に使ってみると、かなり画期的な機能だと感じます。

  • 掃除時に見やすい位置にある液晶ディスプレイ。バッテリー残量が秒単位でわかるようになったため、安心して掃除できるようになりました

液晶ディスプレイで、あと何分何秒くらい掃除できるのかが確認できます。これは便利そう

V11は、クリーナーヘッドやミニモーターヘッドなど、モーター内蔵ヘッドが付属します。このため、モーター内蔵ヘッドを使う場合と使わない場合とでは、バッテリーの消費量がかなり変わってきます。V11は、ヘッドやアクセサリーなどを自動的に認識し、使用するアクセサリーに合わせたバッテリー残量を表示することが可能です。

なにもつけていなかったV11に、ミニモーターヘッドを装着したところ、バッテリー残量が63:51から一瞬で49:55に変化しました。アクセサリーを自動認識しているのがわかります

「エラー表示」も液晶ディスプレイのメリットといえます。たとえば、フィルターを装着し忘れていたり、フィルターが汚れて吸引力が下がったり、大きすぎるゴミが風路に詰まったり、といった問題が発生したとき、問題の原因と解決方法を液晶ディスプレイで表示してくれます。「なんか掃除機の調子が悪いぞ?」なんてとき、力強い味方になってくれそうです。

  • エラーの原因と、その解消方法までを液晶画面で表示してくれます

待ってたよ! スタンド型充電ドック!

ダイソンのコードレス掃除機といえば、壁掛け式の充電ドックがデメリットとして指摘されていました。たしかに壁掛け式の充電ドックは省スペースで便利なのですが、壁に穴を開ける必要があるため、賃貸暮らしなどのユーザーは扱いに困っていたのです。今回V11はとうとう、壁掛け式ドックに加えてスタンド式の「Dyson V11 コードレスクリーナー専用充電ドック」が用意されます。

  • 見た目もスタイリッシュなスタンド型の充電ドック。本体だけではなく、アクセサリーをセットできるスペースもあります

このほか便利に感じたのが、パッケージ付属の「ツールクリップ」。隙間ノズルやコンビネーションノズルなど、最大2個までアクセサリーをパイプ部分にセットできる透明プラスチック製クリップです。パイプに装着しておけば、掃除中にいつでも隙間ノズルやコンビネーションノズルといったアクセサリーに交換できます。

  • 透明なプラスチック製の「ツールクリップ」。最大2個のアクセサリーをセットした状態で、V11の延長パイプに装着できます

  • ツールクリップの利用イメージ。パイプによく使うアタッチメントを付けておけば、掃除中にすぐ付け替えられます

  • アタッチメントは、充電ドックのポールに装着することも可能です

V11は「V11 Absolute」「V11 Fluffy+」「V11 Fluffy」など、付属品が異なるパッケージを複数ラインナップしています(性能はすべて同じ)。ベーシックモデルがV11 Fluffy。ソフトローラークリーナーヘッド、掃除ツール5点、ツールクリップが付属しますが、充電スタンドはないので注意。V11 Fluffy+、V11 Absoluteでは、スタンド型充電ドックが付いてきます。上位モデルのV11 Absoluteはさらに、カーペット掃除に適したダイレクトドライブクリーナーヘッドも同梱されます。ダイソン公式ストアの価格は、V11 Absoluteが99,360円(税込)、V11 Fluffy+が87,480円(税込)、V11 Fluffyが75,600円(税込)です。

  • V11 Absoluteに付属する、カーペット用のダイレクトドライブクリーナーヘッド(写真左)と、全モデルに付属するソフトローラークリーナーヘッド(写真右)

  • 3モデル共通で付属するアクセサリー。左からミニソフトブラシ、隙間ノズル、コンビネーションノズル、ミニ モーターヘッド。ミニ モーターヘッドのやや左上にあるのがツールクリップ

全モデル共通で付属するソフトローラークリーナーヘッドでの掃除デモンストレーションも行われました。大きなゴミから粉ゴミまで、見事に掃除できています

ゴミ捨てはV10と同じ、レバーを操作して手で触らずダイレクトにゴミ箱にゴミを捨てられる方式です

日本専用モデル「V7 Slim」も登場

V7 Slimは、日本の住宅に合わせて設計されたというダイソンのコードレス掃除機です。ダイソンのコードレス掃除機としては最軽量モデル。本体にはデジタルモーター「V7」を採用し、ダイソンで最短の延長パイプと、コンパクトなモーターヘッドを採用し、スティック時の重さは2.2kgとなっています。ダイソン公式ストアでの価格は、45,360円(税込)です。

  • 軽量コンパクトさを追求したDyson V7 Slim。風路が曲がっており、V10より前のデザインであることがわかります

  • 軽量コンパクトなので、高い場所の掃除もしやすくなっています

  • ヘッドが薄くてコンパクトなので、ソファの下などが掃除しやすいのも特徴。また、パイプの長さもV7 Slimは短く、全体的にコンパクト。写真はV7 Slim(写真左)とV11(写真右)を比較したもの