ブルーエアといえば、スウェーデン発のプレミアム空気清浄機専門メーカー。空気を清浄化することに特化したメーカーであり、独自技術による性能の高さから、日本をはじめ世界中で高い人気があります。そんなブルーエアがはじめて、車載用の空気清浄機「Blueair Cabin」を3月15日に発売します。プレス向け発表会で実機を見てきたので、レポートします。

  • 2つのユニットを搭載した「Blueair Cabin P2iD」。フィルターを内蔵した空気清浄機の本体と、コントローラー部に分かれています

  • 発表会場はボルボスタジオ青山。実際に設置した車をチェックすることができました

車のサイズに合わせて2モデル

Blueair Cabinは、W205×H97×D205mmの空気清浄ユニットで、車内の空気をキレイにします。本体のベルトを車のヘッドレストに巻き付けて設置。電源は、DC12Vのシガーソケットから供給します。車の大きさに合わせて、空気清浄ユニットが1つの「Blueair Cabin P2i(以下、P2i)」と、ユニットが2つの「Blueair Cabin P2iD(以下、P2iD)」を選択可能。価格はP2iが29,000円(税別)、P2iDが48,000円(税別)です。

  • ユニットにあるバンドを、車のヘッドレストのポール部分に巻き付けて固定します。筆者が試したところ、2分かからず装着できました

  • ボルボのV60に、ユニットが1つのP2iを装着。デザインがシンプルなので、意外と邪魔になりません

  • ユニットが2つのP2iDは、ボルボのXC90へ装着。コードが少し目立ちましたので、うまくコードを収納する工夫が必要かも

  • 電源は、DC12Vのシガーソケットから供給。すでにドライブレコーダーでシガーソケットを使用している場合は、シガーソケットを増設できる市販の分配器を使いましょう

2モデルの違いはズバリ、空気清浄スピードの早さ。空気清浄ユニットが2つあるP2iDは、セダンやハッチバックといった4立方メートル前後の車で3分~4分、SUVやミニバンなど7立方メートル前後の車でも、5分~6分ほどで車内の空気をキレイにします。ユニットが1つのP2iは、セダンやハッチバックで5分~6分、SUVやミニバンで8分~11分ほどかかります。

ブルーエアの日本総代理店であるセールス・オンデマンドが車に乗る人を対象に、「1回あたりの乗車時間」を日本で調査したところ、2時間未満が8割という結果になりました。8割のうち、運転時間が30分に満たない層が26%いて、日本人は車の乗車時間が短めであることが多いそう。このため、最速3分で車内の空気をキレイにできるBlueair Cabinシリーズは、日本でも使いやすい製品だといえます。

  • 日本は1回あたりの運転時間が短いため、すばやく車内の空気をキレイにできる性能はとても重要

家庭用の空気清浄機と同じ技術を

日本でも、車載用の空気清浄機を販売するメーカーは複数ありますが、その多くはフィルターを内蔵しないイオン発生型の空気清浄機です。イオンによって消臭や除菌などの効果を期待できますが、花粉やホコリは除去できません。Blueair Cabinは、ブルーエアの家庭用空気清浄機と同じく、「HEPASilent(ヘパサイレント)テクノロジー」を採用したフィルターを搭載。ホルムアルデヒドといった有害物質から、花粉を含むアレル物質、PM2.5などの汚染物質を99%まで除去可能です。ちなみにHEPASilentテクノロジーはブルーエア独自の技術で、空気中の汚染物質をマイナスに帯電させることで、プラスに帯電したフィルターへ効率よく汚れを吸着させます。

  • 本体のメッシュカバーを外すと、HEPASilentテクノロジーを採用したフィルターが露出します。フィルター交換の目安は、360時間の運転とのこと。1日1時間運転するとして、約1年使えますね。フィルター交換が必要になると、コントローラ部が赤く点灯します。フィルターは、セールス・オンデマンド公式ストア価格で4,000円(税別)です

  • フィルターはコンパクトに折りたためるため、小さくして捨てられます

  • フィルターを外したところ。上下左右の全方向からキレイな空気を排出するため、非常にスピーディに車内の空気をキレイにできます

ブルーエアによると、車は住宅より空間が狭く密閉されているため、空気が非常に汚染されやすい環境。前を走る車からの排気ガスやタイヤくず、空気中の花粉が侵入するほか、車内のカビ汚れも空気中にとどまりやすく、イギリスの調査によると、車内の空気は車外の空気と比べて、15倍も汚れていることがあるそうです。筆者は花粉症のため、スギ花粉が飛散する時期は運転中も常にマスクが手放せません。ですが3分で空気の汚れを浄化できるBlueair Cabinがあれば、近所のスーパーへ買い出しといった短時間の運転でも、効果を発揮してくれそうです。

  • 車内の空気は排気ガスなどで汚れやすいほか、一度侵入したホコリや花粉は逃げにくく、非常に汚れやすいのです

車内の空気の汚れは、シガーソケットに差し込むコントローラー部で常にチェック可能。コントローラー部がリング状にオレンジ色で光っている場合は、空気が汚れている状態、青く光っていれば空気がキレイな状態です。車内の空気状態をチェックできるのはうれしいところ。Blueair Cabinは、ブルーエアのスマホアプリ「Blueair Friend」に対応。スマホとBluetoothで接続すると、リアルタイムでスマホから空気の汚れをチェックしたり、運転モードを変更したりできます。ただし、Blueair Cabinが搭載するセンサーはダストセンサーのみのため、チェックできるのは空気中のPM2.5やホコリ汚れのみ。VOC(揮発性有機化合物)といった汚れはチェックできないそうです。

  • コントローラー部の光り方で、車内の空気のキレイさがわかります

  • 光が青ければ空気がキレイ、オレンジなら汚い状態。わかりやすい表示です

  • スマホアプリ「Blueair Friend」にも対応。車内の汚れがスマホでわかるほか、運転モードの変更も可能です。一般的にシガーソケットは運転席近くにあるため、後部座席でBlueair Cabinをコントロールしたいときに便利そうでした

USBポート搭載、後部座席でもスマホを充電

運転モードは低速、中速、高速のほか、車内の汚れにあわせてモードを調整するオートの4種類。モードの設定は、シガーソケットに差し込んだコントローラー部分を左右にひねることで簡単に変更できます。

基本的にコントローラ部をひねって操作します。動画は低速、電源OFF、電源ONの順番で操作したところ

Blueair Cabinは、車のエンジンをスタートすると自動的に前回のモードで運転を開始し、エンジンを切ると止まるため、「電源のON/OFF」を意識せずに使えるのも便利なポイントです。

個人的にかなりうれしいのが、シガーソケットのコントローラー部とユニット部の両方にUSBポートが搭載されていること。Blueair Cabinを前部の座席に設置しておけば、後部座席でもスマホの充電が手軽にできます。ただし、コントローラー部とユニット部のポートは同時に使えません。どちらか1ポートのみ、出力が可能です。

  • コントローラー部と、本体ユニット下部にUSBポートを搭載。本体ユニットにUSBポートがあるため、後部座席で充電したいときはかなり便利そうです