ネットギアジャパン(以下ネットギア)は2月28日に、Orbi Voice新製品発表会を開催し、Orbi VoiseメッシュWiFiシステムや、WiFi6(IEEE802.11ax)対応のルーターNighthawk AX8などを発表しました。ルーター製品は本日からamazon.co.jpでの先行予約を開始します。

価格はOrbi Voiceサテライト(RBS40V-100JPS)単体が39800円(税込)、メッシュWiFiの親機を含めたOrbi VoiceメッシュWiFiシステムスターターキット(RBK50V-100JPS)が59800円(税込)、Nighthawk AX8(RAX80-100JPS)が49980円(税込)です。製品の発送は4月初旬を予定しています。

  • 発表製品とネットギアジャパン 社長の杉田哲也氏

今後5年間で個人向け製品を積極的に展開

ネットギアジャパン 社長の杉田哲也氏が、同社の取り組みを紹介しました。日本では法人(SMB)向け製品やソリューションを中心にビジネスを展開していましたが、今後個人向けの市場も製品展開を強化するといいます。

具体的には、米国で普及しているメッシュWiFiシステム、WiFi6製品を積極的に取り入れるほか、日本国内におけるeSportsの盛り上がりを受けて、ゲーミング製品にも力を入れるとのこと。さらに販路も通販チャネルだけでなく店舗販売も強化(3月よりヨドバシカメラでの取り扱いを予定)します。

このほか、ライフスタイル市場に向けて、スマートスピーカーやデジタルキャンパスなどの新ジャンル製品を投入し、モバイルアプリによる簡単な設定を取り入れたいと言います。これの第1弾製品として「MeURAL」を紹介しました。

スイッチングハブ市場でのシェアを10年掛けて業界2位まで伸ばしたように、無線LANの市場でもリテール販売を通じてシェアを伸ばし、5年後には法人向けと合わせて、売り上げを100億円にしたいと語りました。

  • スイッチングハブ市場において、2010年9月の段階では非常に少なかった売上が先月では市場2位へ。これを家庭用製品でも同様の存在感を出したいと言います

  • 5年後には売り上げを100億にするとともに、法人向け主体のビジネスを家庭向けと半々程度にするのが目標です

日本でも普及が期待されるメッシュWiFi

続いて、ネットギアジャパン マーケティングマネージャーの前田力氏が新製品を紹介しました。

  • ネットギアジャパン マーケティングマネージャーの前田力氏

前田氏によると、ネットギアは米国のWiFi市場(無線LANルーターやメッシュルーター、中継器)で断トツのトップシェアを獲得しています。また、米国では「メッシュWiFiシステム」が通常の無線LANルーターよりも売れるようになっているとして、スマートフォンやスマートスピーカー、IoT機器の普及によってメッシュWiFiが市場から望まれているといいます。

  • ネットギアは米国市場では過半数と断トツのNo.1シェアです。米国の量販店に行っても多くの製品が並んでいました

  • 広い米国では1機で広範囲をカバーするハイパワー製品が人気でしたが、2017年にネットギアがメッシュWiFiを発表後、他社も同様の製品を投入し、アメリカ市場ではメッシュ製品の方が売れているそうです

ネットギアのメッシュWiFiは機器間を専用の無線でつなぐことで、広い範囲で安定して接続できるとアピールします。リビングに置けばリビングにあるすべての機器が強いWiFi圏内になります。

Orbi Voiceは、メッシュWiFiシステムであるOrbiとしての機能だけでなく、Amazon Alexaに対応したスマートスピーカーとしての機能も持っています。Harman Kardon製の35Wスピーカーを備えており、オンラインミュージックやPodcastを楽しむことが可能となります。4つのマイクを備えており、少々離れたところからでもAlexaのボイスコマンドを認識するそうです。

  • Orvi Voiceサテライト。親機となるOrbiルーターを合わせて使います

  • Orbi Voiceサテライトは、メッシュWiFiとアレクサが合体した製品です。サウンドはHarman Kardonで最大35Wとかなりパワフルな音を出します

ところで、米国では家屋が大きいので、通信範囲を広げるメッシュWiFiはメリットが大きいのですが、家をそれほど大きくない日本ではどうなのでしょう。前田氏は、日本の家屋は地震対策や防音・断熱のために壁の構造によって、電波が通りに食う、家のすみずみまでWiFiの電波を飛ばすためにはメッシュWiFiが重要になると説明しました。

  • 販売はOrbi Voice単体とメッシュWiFiとのセットの2種類で、すでにOrbiを持っていないユーザーはセットを購入するのがよいでしょう。現在先行予約をAmazon.co.jpで行っており10%の割引があります

  • Orbi VoiceとメッシュWiFiとのセット。どちらも白基調でリビングに置いてもマッチするデザインになっています

WiFi6対応のゲーミングルーター「Nighthawk AX8」

Nighthawk AX8(以下RAX80)はWiFi6として知られるIEEE802.11ax(以下11ax)に対応した製品です。まだ11axの規格が固まっておらず、対応のスマートフォンなども発表されたばかりで、発売はこれからという状況です。

  • IEEE802.11axに対応したNighthawk AX8。従来よりも速く、遠くに飛ぶ製品です

11axは11acと比べ、4倍の同時接続と40%以上の速度向上、そして通信エリアも50%広がるというメリットがあります。

RAX80はネットギアの過去の経験から最適な位置にアンテナを配置しており、ユーザー自身がアンテナを調整したり、ルーターの向きを変えたりすることが不要で、最大6,000Mbpsの転送能力を備えた製品となっています。もちろん11a だけでなく802.11ac/a/b/g/nとの互換性もあるので、11axが普及する前でも活用できる製品でしょう。

  • Nighthawk AX8は11axに対応しているのが最大の特徴で、同時接続台数もネットワークエリアも通信速度もアップします。もちろん下位互換性も保たれています

  • RAX80の特徴は、ネットギアのノウハウを生かしたアンテナ設計。無調整で良好なパフォーマンスが得られるとのこと。速度アップに対応するため制御CPUもパワーアップしたものを使用しています。これもamazon.co.jpで先行予約中で13%の割引があります

アートやゲームの領域でも力を入れる

MeURALは世界の絵画や自分の写真を表示できるスマートアートキャンバスで、メンバーシップに加入することで30,000万点以上の画像をダウンロードして表示できるものです(加入しなくても100枚程度の有名絵画がダウンロード可能)。

  • MeURALはスマートアートキャンバスで主に絵画を表示するフォトフレームのようなものです。メンバーシップに加盟すると3万以上の絵画から好きなものをダウンロード可能です

  • ネットギアへの買収で対応する絵画契約がパワーアップしたということなので、日本での正式発表時にはさらに数が増える印象を受けました

映像クオリティにこだわった製品で、ネットギアが買収したのちに絵画の利用をさらに高める活動をしているということです。ネットギアからの提供形態は今後発表するとのことでした。

  • スマートアートキャンバスの「MeURAL」。2019年日本市場に投入する予定です。一定時間でダウンロードした名画が次々と表示されます

また、ネットギアはeSportsへの取り組みとして2017年2月からプロゲーミングスポーツチーム「SCARZ」へのスポンサードを行っています。今回、JeSU公認プロライセンスを保持するTema選手ともスポンサード契約したと発表されました。

  • eSportsへの対応はすでにスポンサードを行っているゲーミングチーム「SCARZ」に加え、JeSU公認プロライセンスを保持するTema選手にも拡大しました

Tema選手は、あまり機械は得意ではなく通信環境について「動いている設定は動かしたくない」とのこと。しかし、Nighthawkの初期設定は初心者でも簡単でよかったといいます。

  • 当日はゲストとして登壇したほか、ぷよぷよのエキシビションマッチも行われました

SCARZは多くのゲーム部門で活躍しているチームですが、9LDKと広いゲーミングハウスのすみずみまでOrbiによるWiFiが利用できるようになったことと、ゲームに優先して帯域を割り当てるQoS設定があるのがうれしいとコメントしていました。