この数年、日本でも注目されているのが「e-BIKE」と呼ばれる本格スポーツタイプの電動アシスト自転車です。「電動アシストがあったらスポーツにならないのでは?」と思うかもしれませんが、体力に自信のない人でも気軽にサイクリングスポーツが楽しめるということで、欧米ではすでにクロスバイクやマウンテンバイクなど本格的なe-Bikeが普及しています。
そんななか、街乗り用の電動自転車で人気のパナソニックサイクルテックも2017年に、本格電動アシストマウンテンバイク「XM1」を発売しました。翌年の2018年には、電動アシストマウンテンバイク「XM2」や、電動アシストクロスバイク「XU1」でラインナップを拡充。そして、今年(2019年)3月1日には電動アシストマウンテンバイクの最新・最上位モデル「XM-D2」を発売。メディア用の体験会でXM-D2を試してきました。
どこにも妥協しないデザイン
パナソニックサイクルテックによると、XM-D2で最大の特徴は「どこにも妥協しない」デザイン。従来まで前輪にしかなかったサスペンションが、前後両方についたダブルサスペンションとなり、舗装されていない道を走るときの衝撃を吸収します。
車軸には本格マウンテンバイクならではの、前後スルーアクスルホイールを採用。スルーアクスルはねじれ剛性が高く、ディスクブレーキを使ったハードなコースの走りにも対応します。
試乗コースを走ってみましたが、マウンテンバイク用のコースということでボコボコと土が隆起した道や、30度近い傾斜のある坂、20cm~30cmほどの落差もあり、普段ママチャリしか乗らない筆者にとってはかなり厳しいコースでした。
ですが、XM-D2はほとんどの衝撃を吸収してくれるので、凸凹道もフワンフワンとした不思議な感覚で通り抜けられ、段差があまり気になりません。本格的なマウンテンバイクに乗るのは初めてでしたが、なるほど。これなら舗装されていない荒れたオフロードもグイグイ進めそうです。
パナソニック独自のドライブユニット「マルチ スピード ドライブ ユニット」は、国内で唯一という内装2段変速機構を搭載。外装10段のギヤとあわせて、20段という高いギヤ比があるのも特徴です。
一般的な街乗り電動アシスト自転車は、チェーンにパワーを伝える方式ですが、XM-D2はクランク軸へ直接パワーを伝えるダイレクトドライブを採用。ペダルを踏み込むと、その力が滑らかに走行パワーになるようなアシストをしてくれます。
通常の電動アシスト自転車とe-BikeであるXM-D2の違いは、バッテリーの位置にもあります。通常の電動アシスト自転車はサドルの下にバッテリーを搭載しています。しかし、自転車はペダル軸と後輪軸の幅が狭いほど小回りがききやすいため、XM-D2はダウンチューブにバッテリーを配置しました。
XM-D2の充電時間は約4.5時間。走行距離はパワーモードで約61km、オートマチックモードで約75km、ロングモードで約107kmです。
険しい道も思ったほどじゃない
今回は1周するのに10分かからないミニクロスカントリーコースを3周ほど試乗しましたが、e-Bikeなら普段は引きこもりに近い生活をしているインドア派の筆者も苦しくなく、スポーツサイクルの楽しさを味わえたのが印象的でした。最初にコースを見たとき、アップダウンの激しさに「これは街でママチャリしか乗ったことがない筆者には無理なんじゃ……」と感じました。実際、コースの試乗をキャンセルし駐車場で試乗する人もいたほどです。
しかしいざ乗ってみると、XM-D2のように高性能なマウンテンバイクなら、初心者には難しく見えるコースも意外なほどあっけなく走行できました。サスペンションや電動アシストの力で走行しても、オフロードならではのスリルと、自分でクリアした達成感はしっかり残るので、走り終わったあと「もう一度走りたい」と思うくらいに楽しかったです。回数を重ねるたびに「次の坂はアシストを切って自力でのぼろう」など、自分にハードルを課して挑戦できるのもe-Bikeならではの面白さ。
ちなみに、XM-D2は「スペースブルー」と呼ばれる特徴的な色を車体カラーに採用しており、見る角度や光源によって、青にも紫にも見えます。こういった特別感のある車体というのも、所有する楽しさのひとつになりそうです。