日本eスポーツ連合(JeSU)は1月26日と27日に、「eSPORTS 国際チャレンジカップ」を開催した。競技タイトルに採用されたのは『ストリートファイターVアーケードエディション』『鉄拳7』『ウイニングイレブン 2019(ウイイレ)』『オーバーウォッチ』の4つ。本稿ではそのうち、ウイイレの試合についてフォーカスする。

金メダリストとしての実力を示したウイイレ日本代表

国際チャレンジカップは、日本選抜とアジア選抜によるeスポーツの対抗戦。日本選抜は、昨年のアジア競技大会のデモンストレーション競技で金メダルを獲得したSOFIA選手とレバ選手、それにShiro選手を加えた布陣で臨んだ。アジア選抜からは、同じくアジア競技大会で香港・中国代表として出場したCharles_ng選手とタイのScarlet選手、韓国のshagamoon選手が参戦した。

『ウイイレ』は世界のクラブチームを使って対戦するサッカーゲーム。今大会は、3戦中2試合先取したほうが勝利というルールで行われた。先鋒、大将戦は1人対1人のシングルマッチで、中堅戦は3人対3人(3人協力プレイによるチーム戦)という試合形式だ。先鋒戦はShiro選手(日本選抜)対shagamoon選手(アジア選抜)、大将戦はレバ選手(日本選抜)対Charles_ng選手(アジア選抜)という組み合わせとなった。

国際チャレンジカップは「闘会議2019」の隣の幕張メッセホール4で開催された

先鋒戦では、Shiro選手がリバプールを選択し、shagamoon選手がアーセナルを選択。今回は、どのチームを選んでも能力差がつかないように調整されているので、選択チームによる差異はほとんどない。

試合は、同点で前半を折り返すも、後半shagamoon選手に追加点を許してしまい、アジア選抜が勝利を収めた。

Shiro選手
Shagamoon選手

続く中堅戦は日本選抜、アジア選抜ともにすべての選手が出場する3on3対決。お互いにアーセナルを選択するミラーマッチとなった。

チーム能力が均一化しているとはいえ、個々のスキルは活かされるので、アーセナルは選ばれやすいチームの1つだ。2018年に行われたアジア競技大会では、同じチームを何度も使うことができないというレギュレーションだったが、今回はその規定がないので、より選びやすかったのかもしれない。

中堅戦は先鋒戦と異なり、日本の1点リードで前半を折り返す。後半、アジア選抜のコーナーキックからのセットプレイで同点に追いつかれるも、SOFIA選手が勝ち越しゴールを決めて、日本選抜が1本取り返した。

日本選抜の面々。左からSOFIA選手、Shiro選手、レバ選手
アジア選抜の面々。左からshagamoon選手、Charles_ng選手、Scarrlet選手

勝利数1対1で迎えた大将戦。ここで勝利したほうが国際マッチの勝者となる緊張の一戦だ。レバ選手はアーセナル、Charles_ng選手はリバプールを選択した。試合は、前半終了間際にカウンターでゴールを奪ったレバ選手が、後半終了間際にもフリーキックから追加点を入れ、2対0で勝利。今回の国際マッチは日本選抜の勝利で幕を閉じた。

レバ選手
Charles_ng選手

国産eスポーツタイトルの増加には海外人口も必要

国際チャレンジカップのウイイレ部門は、アジア競技大会から覚醒したレバ選手が、実力通りの強さを発揮した試合展開だった。ただし、相手チームの実力が、かなりのものだったのも確かである。

そこから見て取れたことは、ウイイレが海外でもしっかりプレイされているという事実だ。世界でプレイされている国産eスポーツタイトルが少なく、特にサッカーゲームでは『FIFA』という人気タイトルの存在があるなかで、海外にプロプレイヤーがいることは朗報だろう。

やはり、日本のeスポーツエントリー層にとって、海外の見慣れないタイトルよりも、馴染みのある国産タイトルの試合のほうが、“観戦してみよう”という気持ちが強くなるのではないだろうか。特に、スポーツ系のゲームはルールを知っている人が多いため、eスポーツの観戦が初めての人でもわかりやすいと感じるはずだ。

しかし、今回のような国際マッチでタイトルが選定されるためには、世界にも一定数のプレイ人口が必要である。ゲーム文化や価値観の違いなどから、「日本でウケるゲーム」と「海外でウケるゲーム」に違いがあるの当然で、世界共通で受け入れられるようなタイトルは、狙って作れるものではないのかもしれない。

それでもウイイレは、FIFAと比べて世界的な出荷本数が少ないと言われながら、アジア競技大会や国際チャレンジカップなどの種目に選ばれた。海外には有力な選手も多いだろう。

国産eスポーツタイトルとして世界で認められることは、決して簡単なことではないが、日本のさまざまなゲームで国際戦を実施できるように、国産タイトルの世界的な普及を願うばかりだ。

日の丸の下、国歌斉唱を聴く日本選抜チーム。試合後は各チーム表彰と勝利チームである日本の国歌斉唱が行われた
賞金75万円を獲得したアジア選抜チーム

なお、チームの表彰後には、いきいき茨城ゆめ国体で開催される「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」の開催概要や『ウイニングイレブン』の公式世界大会である「PES LEAGUE 2019」の実施が発表された。

いきいき茨城ゆめ国体の文化プログラムについての告知。エントリーは2月から開始する
アジア地域決勝戦に進む2名を決める当日予選のエントリーが開始
(岡安学)