世界最大級の家電関連見本市「CES 2019」に合わせて、米ラスベガスでMcAfeeがプレスイベントを開催し、現在開発中の新しいセキュリティ製品について紹介していました。今回のCESで最も話題となったテーマの1つである「ゲーミングPC」向け製品です。
McAfeeが開発しているのは「McAfee Gamer Security」。ゲーマー向けのセキュリティソフトとして開発しているそうです。昨今のPCゲームは、高いFPSや高精細映像による没入感が進化していて、PCに高い処理能力が求められています。
それに対してセキュリティソフトは、リアルタイムの監視を行うため、メモリに常駐して処理が発生し、何かあった場合に通知を発して警告するなど、PCゲームに影響を与えかねない製品でした。
そのため、PCゲーム中にセキュリティソフトをオフにするという使い方をしている人もいて、セキュリティ業界の課題の一つとなっているそうです。McAfeeもそうした声を受けて毎年のように軽量化を図ってきましたが、説明員は「最初のイメージもあって、なかなか理解してもらえない」と話します。
そこでGamer Securityでは、新開発のAV(アンチウイルス)エンジンを搭載。主要な機能をクラウド側に保持することで、さらなる軽量化を図りました。単なる軽量化だけでなく、ゲームのためにシステムを最適化するといった設定も備えることで、PCゲーマーに適したセキュリティ製品としてアピールします。
新たなマイクロAVエンジンは、常駐していてもシステムへのインパクトは最小化されており、ゲーム中の通知はオフになるのでゲームの邪魔をしません。また、ゲームブーストという機能を備えており、ほかのアプリケーションの優先度を下げるなどして、システムリソースを最適化してくれます。
UIもゲーマーにとって違和感のないデザインを心がけるなど、ゲーマーの利用を重視した設計にしています。複数のゲーマーの声を聞き、協力して開発を続けているとのことで、クローズドのベータテストも実施して、積極的にゲーマーの声を取り上げていきたい考えを示しています。
主なセキュリティ機能としては、リアルタイム検索、自動アップデートを備え、ファイアウォールはWindows標準を活用。最小限というほどではありませんが、下手に高機能化して重くするのではなく、必要な機能をゲームに適したUIで提供することによって、ゲーマーに訴求したい考えです。
ゲームを自動認識するほか、任意のアプリケーションを登録して、利用時のシステムを最適化するため、ゲームだけでなく、例えば動画や画像を編集するときにも役立ちそうですが、現時点ではあくまでゲーマー向けというスタンス。まずは第2四半期に英語版としてリリースを予定しているそうです。
今回開発されたマイクロAVエンジンを、従来のエンジンに置き換えるといった進化の方向性は、現時点で検討中とのことです。
eSportsの人気の高まりを受けて、McAfeeは今後、不正アクセスや攻撃の対象としてゲーマーが狙われる可能性を指摘。こうした点を踏まえて、ゲーマー向けにも、ゲームの邪魔をしないセキュリティの必要性を訴えます。日本では、例えばゲーミングPCのメーカーと協力し、各製品に最適化して販売するなどの施策を検討しているそうです。