米IBMは1月8日、CES(Consumer Electronics Show)2019で、科学やビジネスでの利用を目的として設計された汎用近似量子コンピューティング統合システム「IBM Q System One」を発表し、2019年中にニューヨーク州ポキプシーに初の企業顧客向け「IBM Q Quantum Computation Center」を開設する計画を明らかにした。
「IBM Q System One」には、安定性と信頼性をもたらし、継続的にビジネス利用できる、洗練されたモジュール型のコンパクト設計が採用されており、研究所の壁を越えて運用できる汎用近似超伝導量子コンピュータを実現するという。
IBMは、連携して動作するよう最適化された統合アーキテクチャに複数のコンポーネントを組み込む従来型のコンピュータと同様のアプローチを、IBM Q System Oneによって量子コンピューティングにも適用する。
IBM Q System Oneは、利用可能な最先端のクラウド・ベース量子コンピューティング・プログラムとして連携して機能する、次のような複数のカスタム・コンポーネントで構成されている。
- 再現性を持つ予測可能な良質の量子ビットを生成できる、安定性と自動較正機能を備えた量子ハードウェア
- 継続的に低温の分離された量子環境をつくり出す超低温工学技術 大量の量子ビットを精密に制御するためのコンパクトなフォーム・ファクターを採用した高精度エレクトロニクス
- システムの正常性を管理し、ダウンタイムを発生させることなくシステムをアップグレードできる、量子ファームウェア
- 安全なクラウド・アクセスと、量子アルゴリズムのハイブリッドな実行環境を提供する従来型のコンピューティング
IBMは「IBM Q Quantum Computation Center」の開設により、トーマス・J・ワトソン・リサーチ・センター(ニューヨーク州ヨークタウン)のシステムがすでに含まれている「IBM Q Network」の商用量子コンピューティング・プログラムを拡張する予定。
新設されるセンター内には、世界最先端のクラウド・ベース量子コンピューティング・システムが配置される。それらのシステムには、IBMと協力して量子コンピューティングを進化させ、ビジネスや科学における実用的用途を探究することを目的とした、Fortune 500企業、スタートアップ、学術研究機関、国立研究所から成る世界規模のコミュニティー「IBM Q Network」のメンバーがアクセスできるようになる。