投げ銭で仮想通貨の輪を広げることが、利用シーン拡大につながる?
投げ銭を目の前で見せてくれたモナ子さん。しかし、その文化を理解してもらうことは簡単はないと、身をもって感じている。
「モナバーに来てくれた友人にも、たまに3.9MONAを渡すのですが、みんな全然意味をわかってなくて。そのまま放置している人も多いと思います。夏は3.9MONAで1000円くらいの価値があったので、ビール1杯くらい飲めたんですけど」
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「モナビール」というオリジナルのビール
仮想通貨の投機的イメージから、モナコインの活用を躊躇してしまう人が多いのかもしれない。どうすれば、そのイメージを払しょくできるのだろう。
「使える飲食店が増えていけば、手に入れたモナコインをクーポンのようにいろいろな場所で使えるんですけどね。仮想通貨決済を開始しても、途中でやめてしまうお店は少なくないので、なかなか普及は難しいでしょう。飲食店の決済では、国際送金のような仮想通貨ならではのアドバンテージを発揮しづらいですし」
モナ子さんが見せてくれたように、投げ銭はオンラインですぐに実行することができる。それは世界中どこにいても変わらない。銀行で国際送金する場合の手数料や手間を考えれば、仮想通貨に期待できるポテンシャルは大きいだろう。
しかし、飲食店決済の場合、国際送金のような利用者メリットはあまりない。さらに、現状仮想通貨はいわば外貨のような存在であるため、「仮想通貨専用の店舗向け決済サービス」などを導入していない限り、売上で手に入れた仮想通貨は自分で日本円に変える必要があるのだ。
「モナバーでは、『もにゃ』や『coinomi』と呼ばれるモバイルウォレットで仮想通貨の支払いをお願いしており、モナコインとビットコインのほかに、ネムとビットゼニーでの支払いが可能です。ただし、仮想通貨でお支払いいただいた場合、店側は取引所で売上を円に変えなければなりません。手数料もかかりますし、レートも上下しますし、そのうえ、なかには海外の取引所でしか交換できない仮想通貨もありますし、正直めっちゃ面倒ですね(笑)」
手数料や価格の変動によって、売上の半分ほどしか手元に残らないということも少なくない。モナ子さんは下がっている通貨がある場合、日本円にせず、そのまま寝かせているという。
「ただ、モナコインはちょっと特殊で、保有者が愛着を持っている通貨なんです。もっとモナコインを広めたいとか、みんなで使いたいとか、知らない人に興味を持ってほしいとか、そういうことを考える人が多い気がしますね。モナバーとしても、『モナコインが好きでたまらない』という狭い層に対して、少しでも利用シーンを提供できればと考えていたので、それ自体はある程度実現できています。次はもっと投げ銭の文化を広げていきたいですね」
実際モナバーでは、地方在住のモナコイナー(モナコイン愛好者をこう呼ぶらしい)が、休日にわざわざ足を延ばして来店するケースも多いそうだ。
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店内には、遠方から訪れたモナコイナーが楽しめるような、遊び心を感じるアイテムも
そう考えると、モナコインのように、通貨に対する愛着があれば、活発な交流や利用シーンが生まれるような気がする。仮想通貨ファンが投げ銭などでユーザーの輪を広げていくうちに、モナバーのような場所が生まれる――。それが繰り返されていくことで、少しずつ利用者と利用場所は増えていくはずだ。ファンが増えれば、国際送金のようなアドバンテージがなくても、仮想通貨の決済は普及していくのではないだろうか。