10月18日、台湾のNASメーカー「Synology」のユーザーイベント、Synology Tokyo 2019が開催されました。企業向けの第一部と、個人ユーザー向けの第二部という構成です。ここでは第二部をレポートします。会社帰りでも立ち寄れる夜のイベントとあって、開場前はかなりの混雑でした。

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    Synology Tokyo 2019第二部の開場前。受付開始前にも関わらず長い列。エスカレーターは止まってます

会場には新製品も展示されていましたが、SynologyのNAS製品を使っている多くのユーザーは、「これでうちのNASが古い製品になってしまった」とはあまり感じません。なぜなら、SynologyのNAS製品はOSをアップデートすることで、最新の製品とあまり変わらない状態で利用できるからです。

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    披露された新製品。SynologyのNASはかなり長くサポート対象になるため、古いモデルでもあまり使い勝手が変わりません。現在のNAS向けOS「DSM6.2」は、8年前の2011年モデルにも提供されています

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    新製品のうち個人でも手が出せそうなのは、2.5インチベイ×6基を搭載した「DS619slim」(左)と、日本で一番売れているシリーズの最新版「DS119j」(右)

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    Synologyらしさの詰まった高機能なWi-Fiルータ。「RT2600ac」(左)に加え、「MR2200ac」(右)が2018年11月下旬に販売開始となります。どちらもメッシュネットワーク対応です。複数台を設置することで、広いエリアで快適にWi-Fiを使えるようになる製品です

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    台湾本社から来日したメンバーと、2018年に設立された日本法人のメンバー。各国で開催されるSynology 2019では、技術者と直接対話ができるのも魅力です

DiskStation Manager(DSM)と呼ばれるNAS OSは、現在のバージョンが「6.2」ですが、今回のイベントで2019年春にバージョン「7.0(のβプログラム)」がリリースされると明らかになりました。

DSM7.0は、新しいログイン画面に代表されるように、見た目が大きく変わり、UIも統一されました。何らかの問題が発生したときのガイダンス表示が数多く用意され、エラーコードを見てインターネットで探したり、マニュアルをめくったりする必要がなくなります。

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    2019年春にリリース予定のDSM7.0(上)と、現在のDSM6.2(下)

Synologyは2009年からモバイル向けのアプリもリリースしており、スマホからのNAS利用が簡単になりました。現在は15種類ものモバイルアプリがあるそうですが、今回は「DS Finder」というアプリを用意し、NASのセットアップがスマホだけで可能になりました。

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    スマホアプリ「DS finder」が提供され、スマホだけでNASのセットアップが可能となります

SynologyのNAS製品は、多くがストレージを内蔵しない「NASキット」です。ユーザーは自分で好きなHDDを用意し、組み込んで利用します。HDDは長く使うとどうしても故障するものですが、過去のSynologyユーザーの故障履歴を学習したデータを使い、HDDが壊れる前に警告を出せる新機能が加わっています。現在、90%の確立で予測できるそうです。

ちなみに、HDDを3台以上格納できる上位製品は、1台のHDDが故障してもデータを保護しつつHDDを交換可能なRAID 5構成に対応します。故障したHDDを交換してRAIDを再構築する必要がありますが(通常は長い時間がかかります)、その時間が短く済むようになったのもうれしいポイントです。

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    過去のSynologyユーザー(300万台)のHDDデータを機械学習させ、HDDの故障予知ができるようになりました

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    3台以上のHDDベイを持つ製品の場合、HDD(RAID)の再構築時間が利用量に合わせて短縮されます

将来はWindows Cloud Filter対応に

DSM7.0にはまだ含まれていませんが、将来はWindows 10の標準機能であるWindows Cloud Filter対応になることがアナウンスされました。たとえば、OneDriveは標準で15GBしか使えませんが、SynologyのNAS製品において、OneDriveと同じような同期と必要なときだけデータをダウンロード(ストリーミング)して利用できるようになります。

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    DSM7.0以降の新機能も紹介。ストレージ容量の少ないモバイルPCに対して、自宅のデータを必要に応じてダウンロードしたり、差分バックアップを取ったりすることができます