理事 マーケティング部 マーケティング戦略室 槻山幸司氏は、働き方プロジェクトを進めるなかで、大切にしているポイントが3つあると語る。
「1つは経営層、全社員に対し『ここまでやります』とコミットする姿勢を示すこと。客先勤務者に対しても、本社の外にいるから難しいと最初から諦めるのではなく、丁寧にコミュニケーションをとります。2つめは文化や風土から変えていくこと。3つめは業務変革をし、制度を整備すること。制度だけ用意しても意味がないので、1・2・3を同時に進めていく必要があります」(槻山氏)
ラックでは数値化も非常に重要視している。こまめにアンケート調査を行い、業務改善効果を数字で可視化する。背景には、プロジェクト内容を振り返り、成功と失敗を定量的に見て、PDCAを回し、次に活かそうとする姿勢がある。
プロジェクトがスタートした当時、客先勤務者の働きがいは本社勤務者と比較すると、10%ほど低かった(平均)という。それでも取り組みを続けるうちに、アンケートで得られる数字はなだらかではあるが、確実に上昇している。
「今はお客様勤務者とのコミュニケーションを深めていく段階。今後、お客様と連携して、契約の中身を見直したり、施策を実施したりすることもあるでしょう。既に『働き方改革を私たちと共に進めませんか』というニュアンスで、提案させていただいたお客様もいます。ミクロな話でいうと、お客様勤務者の有給休暇取得率についてご相談した際、自社の平均以上は達成してほしい、と言ってくださるお客様もいました」(山中氏)
山のてっぺんは見えている。社員の幸せと会社の利益、双方の成長――それらのバランスを見ながら進める働き方改革プロジェクトだからこそ、先に挙げた20項目に増減があったり、項目の内容が入れ替わったりすることもあるだろう。柔軟性を持ちながら進んでいく同プロジェクトを今後も時期を見てレポートしていきたい。