富士通とNPO法人であるSEEDS Asiaは7月23日、インドにおける洪水対策および同国国民の防災意識向上に向けて、AR(拡張現実)技術を含むスマートフォンアプリを利用し、洪水の水位測定および地図上で都市浸水の様子を可視化する実証実験を開始すると発表した。

  • 都市浸水状況の可視化イメージ

    都市浸水状況の可視化イメージ

インドでは、ゲリラ豪雨による都市部の洪水被害の拡大が深刻化しており、洪水による都市浸水の様子を的確に把握し、迅速な避難指示につなげる仕組みが求められているという。

同実験はゲリラ豪雨が多発し、浸水被害が多いインド都市部のヴァーラーナシー県で7月~9月まで行い、スマートフォンアプリを使用し、現地の高等学校7校の職員と生徒、バナラス・ヒンドゥー大学の学生、ヴァーラーナシー県災害管理委員会が協力を募ったヴァーラーナシー市住民などが12カ所の降雨時の水位を定時に測定する。

これらの測定データを地図上で即時に可視化し、住民への迅速な避難指示につなげるほか、ハザードマップとして利用できる防災情報取得の有効性を検証する。同実験における水位測定では、スマートフォンで測定場所に応じた「危険レベル選択式」「水位入力式」「AR測定式」の3つの方法により、ヴァーラーナシー市内12カ所の降雨時の水位を定時に測定。

危険レベル選択式では、一般道路に駐車している車のタイヤにかかる水位を目視で確認し、水位レベルに応じて設定した3パターンから選択、撮影画像とともに撮影場所やコメントなどを合わせてクラウドへ送信する。

  • 危険レベル選択式のイメージ

    危険レベル選択式のイメージ

水位入力式では、学校に設置したスケールメジャーで水位を目視で確認し、スマートフォンに数値を入力後、撮影画像と共にクラウドへ送信。

  • 水位入力式のイメージ

    水位入力式のイメージ

AR測定式では、スマートフォンに表示した写真画像上に、ARマーカーによりスケールを重畳表示し、画像の水面をタップすることで水位を数値化し、撮影画像と共にクラウドへ送信する。

  • AR測定式のイメージ

    AR測定式のイメージ

また、都市浸水状況を可視化し、これらの測定結果をベースに3段階の被害レベルを地図上で可視化するほか、測定データおよび都市浸水の様子を可視化した地図が、住民への避難指示などに利用するハザードマップとして防災情報が有効かどうかを検証する。

同実験において、富士通は同実験のマネジメント、アプリケーション開発、システム構築及び測定データの可視化を担当する。SEEDS Asiaは、高等学校の職員と生徒などによるスマートフォンを使用した洪水の水位測定を支援する。