続いて、HP Tech Ventures Global HeadのAndrew Bolwell氏が登壇した。同氏はHP内で“チーフディスラプター”も兼務しており、先進的なスタートアップ企業を発掘し、戦略的な投資を行い、パートナーシップを図っている。

  • HP Tech Ventures Global HeadのAndrew Bolwell氏

    HP Tech Ventures Global HeadのAndrew Bolwell氏

同氏は「環境の変化に対応する柔軟性が必要だ。数年前は信じられなかったが、現在では多くのことが加速度的に変化しており、現実として起きている。例としては、AIが映画の脚本を書いたり、中国ではロボットがテストに合格したり、サウジアラビアではロボットが世界で初めて市民権を得たりしている」と、現状について触れた。

そのような状況を踏まえた上で「変化は速く、新しいアイデア・製品・サービスが休むことなく適応される状況下において、マーケットにどのようにして追いついていくのか、そしてこれをビジネスチャンスと認識し、どのようにディスラプターとしてリードしていくのかということを自問しなければならない」と、同氏は語気を強める。

そのような状況を踏まえた上で「体験にフォーカス」「メガトレンドの把握」「継続的な再考」の3つの要素が重要であると、同氏は認識を示す。

  • 変化が激しい市場に対応するめには3つの要素が必要だという

    変化が激しい市場に対応するめには3つの要素が必要だという

市場をリードするディスラプターとして

体験にフォーカスする点については、同社では物理的な要素と仮想的な要素をシームレスに融合する「Blended Reality(ブレンドリアリティ)」として、体験(現実)を背景にデジタル化がブレンドされることで、本当に解決したい問題にフォーカスし、ユーザーが必要とするものを提供するとともに、常にイノベーションなアプローチをとることがポイントとなる。

メガトレンドの把握に関しては、企業では求められるカスタマーエクペリエンスを日々考えながら製品開発に取り組んでいるため、ユーザーや社会がどのように変化するのか着目しており、メガトレンドを常に注視しなければならない。技術が、生活にどのように影響を与えるかを熟考し、いかに経済成長に取り組んでいくかがカギだという。

現在、14万のスタートアップ企業がビジネスを展開しており、このようなスタートアップ企業が大企業を破壊しているうちに、そのスタートアップ企業もビジネスを奪われていくというハイペースな市場の変化が起きている。

同氏は「低価格かつパワフルなテクノロジーが登場し、変化も激しく、爆発的な成長を遂げている。この状況が現在だけだと考えている人々は準備が不足しており、メガトレンドに気を払わなければならない」と、警鐘を鳴らす。

近年のディスラプティブな技術としてAIとブロックチェーンは特に重要なことから、これらの技術について継続的な再考を同氏は促す。

多様なスタートアップではビッグデータ、アルゴリズム、コンピューティングに発展を遂げたデジタルスマートとAIを駆使し、ビジネスモデルを構築しており、MRIのがん検診を支援しているほか、カスタマーサポートにも活用されている。

一方、ブロックチェーンは不動産や小売、ベンチャーキャピタル、個人認証、クラウドサービスなど仲介の役割を担い、コストの削減が図れ、例えば銀行や小売のエージェントがソフトウェアに置き換わり、ブロックチェーンを使うことが可能になる。

Bolwell氏は「2029年には機械が人間を超えるシンギュラリティに到達すると予測されている。しかし、高度なAIよりも低価格かつ信頼性のある製品が登場するだろう。そのため、自分のミッションをクリアし、オープンマインドな心持ちでアクションを起こす必要がある」と、説明していた。

そして、最後に「われわれはPCやプリンタなどの世界のベストサプライヤーとして存在しているが、今後も技術革新により、ビジネスの領域を拡大・変化させていく」と、強調していた。