そこで、キリンビール マーケティング部 永井勝也氏に話をうかがった。まず、筆者が着目したのは深紅を採用した缶デザイン。永井氏によると、やはり秘密が隠されていた。

「赤はキリンのコーポレートカラーなので、キリンブランドと一目で認識してもらえるデザインにしたかった。ただ、単純に赤で染めてしまうとトマトジュースっぽくなりかねません(笑)。そこで深みのある赤を使い、実はグラデーションになっているのです」(永井氏)。

社内でも相当に缶デザインについて意見交換したそうだ。ラガーといった定番商品にも赤は使われているが、一部分だ。それを全体的に赤にするには、結構な勇気が必要だったに違いない。ビールといえば清涼感を演出する、シルバーやホワイトといった缶デザインが定番だ。全面真っ赤だと“のどが焼けそう”というイメージにつながりかねない。

  • キリンビール マーケティング部 ビール類カテゴリー戦略担当 永井勝也氏。刺繍ではなくプリントだが、まるでスカジャンを彷彿させる気合いの入ったジャケット

一方で、缶デザインが没個性化してしまった感のあるビールにおいて、これほどインパクトのあるカラーはない。コンビニの冷蔵庫での視認性も高い。そこに伝統の麒麟エンブレムをあしらい、安っぽくならないようにしている。

ネーミングにもこだわり

本麒麟のネーミングロゴもねらったものだそうだ。実は、このわりと難しめの漢字を使うのには、ヒットの確信があった。やはりヒット商品「グリーンラベル 淡麗」の成功だ。淡麗という漢字も難しめだ。さらに、もうひとつ隠れたねらいがある。

「本麒麟のターゲットは40~60代。こうした世代の方々は“麒麟”という文字を見慣れており、瞬時にキリンの製品と判断してくれます。ある意味、キリンの姿勢を伝えるのにこれほどの漢字はありません」(永井氏)。

若い世代の中には、この漢字を読めないかもしれないという危惧を感じたが、ターゲットが40代以上ならば、確かになじみ深いだろう。ただ、永井氏によると、20代といった若い世代のリアクションは薄いそうで、テレビCMなどでこうした世代にリーチしていく考えだそうだ。

最後に、本麒麟というネーミングは“本気リン”にかけてあるのか聞いてみたところ、永井氏は真意は語らなかったが、「そう捉えるユーザーの方はかなりいらっしゃいます」と笑みをみせた。