日本IBMは7月10日、ネポンが2012年から展開する農業分野向けクラウドソリューション「アグリネット」事業で取得・蓄積した施設園芸用ハウスやハウス工場の環境・制御のビッグデータと、IBM CloudおよびIBM Watsonを活用して、施設内の稼働機器の統合AI制御サービス事業を構築すると発表した。

新事業では、農業市場に従事する生産者と新規参入する生産者および生産法人の生産性向上、農作物の品質改善の成果達成に向けた時間短縮、制御管理業務の効率化を支援。

施設園芸関連機器の製造販売および保守を行うネポンは、農業分野における監視、制御、コミュニケーション機能などのメニューを揃えた「アグリネット」を提供すると同時に、主力製品である温室用温風暖房機(ハウスカオンキ)をはじめ、さまざまな機器を施設園芸分野に展開している。

新事業の第一弾として、8月1日からIBM Watson Assistantや音声認識機能を使って開発したチャットシステムを提供開始。生産者が専用端末に音声で質問すると、自動的に文字に変換し、事前に蓄積された農家の知見とIBM Cloud上に保存される施設内のセンサ情報をベースに自動で回答が得られるという。

これまで、情報共有が困難だった生産者の知見共有を促進するための支援となり、例えば農業に新規参入する生産者は新チャットシステムを利用することで、土壌空間や地上空間などの分野で優れた農家の経験と知見をもとに、農業分野への参入障壁を軽減することを可能にしている。

今後、両社はさらに協業することで、温室用冷暖房機、光合成促進機などに代表される栽培施設ハウス内の環境制御機器とセンサおよびクラウド技術を一元管理するとともに、ビッグデータと農家の教師データを解析するAI(アルゴリズム)を活用し、施設園芸向けの環境制御の最適化目的に統合AI制御の実現を目指す考えだ。

また、ネポンは将来的にアグリネットで構築していたプラットフォームをオープン化し、新サービスとして提供することで6次化までの中小企業向け農家同士のIoTプラットフォームとして業種・産業向けサービスを開発・展開していく予定だという。