こうしたユーザー事業者の実態を踏まえて、佐々木氏は「すでに生まれている“freeeで収益を創出する”という価値をさらに推進する。業務を効率化して創造的な仕事に集中してもらうという創業時のミッションの先にあることを実現できるソリューションを目指したい」と表明。同社の新たなミッションとして『スモールビジネスを世界の主役にしたい』を発表した。

佐々木氏によると、このミッションはスモールビジネスがさらに活躍できる世の中を生み出すことを意味しているという。その背景として、佐々木氏はスモールビジネスが現在抱えている課題について語る。

「世の中の99%を占める中小企業は、労働生産性は大企業の半分ほど。クラウドなどテクノロジーの浸透度も大企業に比べると圧倒的に低い。働く場所としての魅力も大企業に見劣りしてしまう。こういう状況を変革することで、スモールビジネスこそ強くてスマートでカッコイイ存在であるという状況、常に大企業の影に隠れるのではなくスモールビジネスが強くて影響力のある存在である状況を生み出したい」(佐々木氏)

そして佐々木氏は、スモールビジネスが社会に与える影響について「イノベーションはスモールビジネスのほうが生み出しやすい。豊かな世の中において、スモールビジネスは究極の自己表現だ」とも指摘。労働者にとっても、スモールビジネスの活性化は新しい挑戦機会の創出や価値観のフィットといった効果を期待できるとしている。

「スモールビジネスを支援することによって、世の中にいい刺激を与えていきたい」(佐々木氏)

その上でfreeeは、アイデアや情熱があれば誰でもビジネスを育てることができるプラットフォームを目指すのだという。佐々木氏は、方向性を具体化するための注力分野として「バックオフィス業務の自動化と可視化」「資金繰り問題の解決」「フロント業務の自動化とオートパイロット」という3つを掲げた。

  • freeeが目指す今後の方向性

  • freeeが今後注力する3つの分野

その中の「バックオフィス業務の自動化と可視化」を実現するための新サービスとして、同社はfreeeに「プロフェッショナルプラン」を追加。バックオフィスの効率化するだけでなく、経営に活用できるように可視化して、目標を立てながら達成のための道筋を考えることができる経営企画をあらゆるビジネスで出来るようにするという。

具体的には、経営指標を元に売上・利益などの数値目標を立てた事業計画をfreee上で簡単にプランニングすることができ、実績に応じて予測値を算出して目標の進捗を確認したりプラス、ショートの要因分析をしたりすることができる。細かい分析に必要なそれぞれの数値のドリルダウンも可能だ。

また、Excelと連携するアドインもリリース予定で、freeeからエクセルに簡単にデータを呼び出して分析や資料作成などを行うことができる機能も今秋にリリース予定とのこと。

「すでに経営企画を行っている企業にとっても、通常2週間ほどの業務を1日で行うことができる」(佐々木氏)

そのほか、同社ではパートナー会計事務所が行う月次会計監査を人工知能が支援することで税務代理実務の負担を軽減し、経営相談業務などのリソースを創出することができる「AI月次監査」をリリースするほか、今後はユーザー事業者向けに事業やプロジェクトごとの収支を管理することができる機能や資金繰りのシミュレーションができる機能なども計画しているという。

スモールビジネスにおける経営データの把握は、ビジネスを拡大する上での課題やオポチュニティを模索するマーケティングにとっても欠かせないものだが、佐々木氏は「スモールビジネスのなかにはリアルタイムに経営指標を見れていないという課題が大きい。この課題が解決できれば、収益率の高い(=注力すべき)ビジネスが見えてくるのだが、大半はそこに辿り着くために時間が掛かりすぎたり手間に感じたりする。freeeを活用することで顧客が増えるということはないが、受注タイミングの最適化による収益の最大化には貢献できるのではないか。経営計画を立てて実行に移すというプロセスを推進することが重要だ」と語った。