ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長CEO/デジタルハーツ 代表取締役社長 玉塚元一氏

ハーツユナイテッドグループおよび同グループ連結子会社のデジタルハーツは6月6日、セキュリティ事業本格化にむけた事業戦略および新サービスに関する発表会を開催した。

初めに、ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長CEOおよびデジタルハーツ 代表取締役社長を務める玉塚元一氏が、セキュリティ事業に関する戦略を説明した。

玉塚氏は、これまでシステムテスト事業を中心に展開してきた同社として「IoT」と「人手不足」がビジネスのチャンスになると語った。

「IoTが広がると、ソフトウェアの利用が進み、その脆弱性やバグが根本的な課題となる。最近、人手不足が問題視されているが、サービス業界とIT業界が特に人材が足りないと見ている。こうした課題に対し、テストアウトソーシングというアプローチで取り組んでいきたい。ゲームのテストで培ったノウハウをエンタープライズ領域でも提供していく」(玉塚氏)

エンタープライズ系のテスト事業においては、AIと自動化による先端技術を活用するとともに、人材と融合させたソリューションの提供を柱とする。現在、エンタープライズ事業の売上は19億円だが、5年後には200億円まで伸ばすことを目標とする。

エンタープライズ事業においては、「技術×人材」という戦略の下、事業を展開する。人材面の強化として、8000人を超える人材と先端技術で構成される「デジタルハーツ セキュリティセンター」を開設する。同センターは、セキュリティに関する3つのサービス領域(検査、監視・運用、教育・人材育成)に関するサービスを提供する。

  • デジタルハーツ セキュリティセンターの概要

同日、検査については、米国Synackと協業し「クラウドソーシング脆弱性検査サービス」を、監視については、米国Aella Dataと協業し、仮想環境/クラウド環境における不審なイベントを包括的に自動検出するセキュリティソリューションを提供開始することが発表された。

ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長CEO/デジタルハーツ エンタープライズ事業本部 セキュリティ事業部 部長 岡田卓也氏

2つの新サービスについては、デジタルハーツ エンタープライズ事業本部 セキュリティ事業部 部長の岡田卓也氏が説明した。

Synackは、米国国家安全保障局(NSA)で対テロリズムに関する諜報活動に従事するなど、国防に関わるサイバーセキュリティのエキスパートであるJay Kaplan氏が創業した企業。

顧客の検査対象に応じて、約1000名のホワイトハッカーから選抜された50~100名のチームによるクラウドベースのペネトレーションテスト(脆弱性検査)が提供される。ユーザーは、検査状況、発見された脆弱性情報(深刻度、概要、影響度、詳細な脆弱性の説明、修正方法など)をリアルタイムで監視することができる。

デジタルハーツはSynackのサービスをベースに「クラウドソーシング脆弱性検査サービス」を提供する。参考価格は700万円(税別)。

  • Synackが提供する脆弱性診断サービスの顧客ポータルの画面

  • 「クラウドソーシング脆弱性検査サービス」提供の流れ

一方、Aella DataはAIによる高拡張型異常検知システム「Starlight」を提供する。同システムでは、分散型のインテリジェントな軽量センサーが、広範囲のカバレッジを提供し、仮想環境やクラウド環境を含むすべてのネットワークにおける不審なイベントを自動で検出する。収集したデータは、AIによって分析が行われ、ノイズ(不正確なアラート)を排除したうえ、重要なアラートのみ提供する。

岡田氏は、競合製品との違いについて、「他の製品はネットワークのフローのみを監視しているが、Starlightはプロセス、コマンド、アプリケーションまでカバーし、具体的なコードを提供するので、対策を打つことができる。また、IDS、サンドボックス機能を内蔵しているため、インテグリティの高い検出が可能」と語った。

サブスクリプションライセンスは年額544万円から(税別)次期バージョンでは「自動検知」と「自動遮断」に対応する予定だという。

  • 「Aella Data Starlight」の仕組み

  • 「Aella Data Starlight」の画面