筆者が毎年、COMPUTEXで注目していることの1つが、Noctuaのアクティブノイズキャンセル(ANC)技術採用のCPUクーラーである。しかし、2015年の展示を最後に姿を隠して早3年。「開発中」の言葉を信じ毎回取材するものの、2年連続で展示は行われなかった。最早、自作PC業界におけるサグラダ・ファミリアなのか? というわけでまた直撃してみた。

  • お馴染みNoctuaのブース。そろそろお願いしますよ……

ANCについて、まずは簡単に説明しておこう。通常、ファンはノイズを抑えるよう設計されるが、高速回転する以上、どうしても限界がある。しかし、逆位相の音を発生させることで、ノイズを打ち消すANCであれば、さらなる静音化も期待できる。Noctuaは過去のプロトタイプにおいて、ブレードを使って逆位相の音を発生する方法を試していた。

ANCについて、詳しくは以下の過去記事を参照して欲しい。

COMPUTEX TAIPEI 2014 - Noctua、アクティブノイズキャンセル採用の静音CPUクーラーを来年発売?
Noctua、世界初のノイズキャンセルCPUクーラーを今度こそ"来年"に発売か
COMPUTEX TAIPEI 2016 - あの"ノイズキャンセルCPUクーラー"はどうなった? Noctuaブースを直撃
COMPUTEX TAIPEI 2017 - 今年もNoctuaを直撃、あのノイズキャンセルクーラーの開発状況は?

やっぱり今年もなかったけど、「NH-U12」の次世代モデルなど展示

記事タイトルを見て薄々気付いていると思うが、残念ながら今回も展示は無かった。ただ、開発を続けているのは間違いないようなので、また次回に期待しよう。いつもの担当者に来年はどうなのか聞いてみたところ、かなり自信が無さそうだったため、発売を楽しみにしていた人は、あと2~3年は待つつもりの方が良いかもしれない。

それで今回のNoctuaブースで注目したいのは、CPUクーラー「NH-U12」の次世代(第5世代)モデルのプロトタイプ。ヒートパイプを7本に増やし、表面積は37%拡大。さらに最新の「NF A12x25」ファンをデュアル搭載することで、12cmファンモデルながら、14cmファンモデルクラスの冷却能力を発揮するという。

  • 第5世代「NH-U12」のプロトタイプ。ヒートパイプが7本に増えた

  • 比較デモ。新型NH-U12(右)は小さいのに、性能は同等だという

NF A12x25ファンは先日、日本でも発売したが、強度が高い液晶ポリマー(LCP)を採用しているのが大きな特徴。高速回転してもブレードが変形しにくいため、フレームとの間のクリアランスをわずか0.5mmに抑えており、高い冷却性能を実現している。この技術を採用した14cmファンの開発も進めているそうで、こちらは来年の発売予定だ。

  • 次世代の14cmファン。ブレード形状もNF A12x25に近い

NF A12x25のように、ファンも新技術により、性能は年々向上している。高速回転でも騒音がかなり抑えられているので、良く考えたらもう無理にANCなんて使わなくてもいいんじゃ……と思わなくも無いが、それはそれ、これはこれ。技術的にはすごく面白いので、また来年もANCには期待したいと思う。