クラウド型の財務管理ソリューション「Kryiba Enterprise」を開発・提供しているキリバ・ジャパンは5月17日、都内で記者発表会を開き、代表取締役社長に小松新太郎氏が就任したことを発表した。会見には同氏に加え、米kyriba 会長兼CEOのジョンルーク・ロバート氏が出席した。
小松氏は1965年生まれの52歳で、1988年に大東文化大学経済学部を卒業した。同年にソフトウェア・エージー・オブ・ファーイースト(現ユニリタ)に入社し、2003年にHyperion Solutionに入社、営業責任者として同社の業績を向上させ、2007年には米Oracleによる買収を経て日本オラクルに入社。
Hyperion事業とOracle BI事業を牽引した後、2010年にSAPジャパンのバイスプレジデントとして入社。Business Objects事業の営業統括をはじめ、プロセス産業、製造機械産業、新規開拓部門の責任者を歴任し、2018年に現職に就任した。
同氏は「SAPジャパン在籍時に気付きがあり、入社のきっかけとなった。企業活動は人、モノ、カネが重要なリソースとなり、管理ツールとして人には人事・給与管理、モノは販売管理や購買管理、在庫管理、生産計画/管理、カネについては会計管理が存在する。しかし、カネに関しては財務管理も必要となるが、日本企業は重要視していない傾向がある。そのため、日本企業における財務管理を支援したいと考えた」と、社長就任に至った背景を説明した。
同氏によると、日本企業では帳簿上では資金を把握できているものの、実際の動きそのものが見えていなかったり、使える現金がなっかたりするなど、資金がどこに存在し、どの程度使えるのかということが十分に可視化ができていないと指摘している。
これは、会計管理は過去の数字を管理対象とし、法規制と強制力があり、システムに対する投資額も大きいが、財務管理は将来の数字が管理対象で法規制、強制力ともになく、投資額も小さいことによるものだという。
このような課題に対し、Kryiba Enterpriseは多様な金融機関の口座に預けている資金を可視化ができるほか、各口座における資金の最適化を量れることを可能としている。これにより、資金の有効活用、コスト削減による収益性の向上、財務業の効率化、リスク管理強化、ガバナンス強化が図れるとしている。
2018年3月末時点で国内においてKryiba Enterpriseの導入企業数は50社。内訳は売上高1000億円以上の企業とSAPユーザーがそれぞれ70%を占めているという。
小松氏は「上場企業で売上高1000億円以上の企業は約1000社となり、SAPユーザーは2025年以前にシステム刷新のタイミングを迎える企業も多いことから、われわれでは2020年に現状比2倍の100社への導入を目指し、財務業務の高度化を通じて日本企業の国際力強化に貢献する」と、意気込みを語っていた。
また、ロバート氏は「グローバルでも日本市場を重視しており、目標としては2~3年後にグローバルの売上高の10%を占めてもらいたい。近年、日本企業のCFOの役割は年々大きくなっており、われわれは日本企業に付加価値を与えることができるのではないかと考えている」と期待を口にしていた。