3月23日より、Beats by Dr. DreによるドキュメンタリーのTVミニシリーズ『ディファイアント・ワンズ:ドレー&ジミー』の配信がNETFLIXで始まった。公開に先立って、都内でメディア向けの試写会と、Beatsの代表・Luke Wood(ルーク・ウッド)と監督のAllen Hughes(アレン・ヒューズ)によるトーク・セッションが実施された。
『ディファイアント・ワンズ:ドレー&ジミー』は、Luke WoodとともにBeatsを立ち上げた、Dr. Dre(ドクター・ドレ)とJimmy Iovine(ジミー・アイオヴィン)の二人の生立ち、現在の活動を追いかけたドキュメンタリー作品で、全部で4章の構成となっている。監督は『ポケットいっぱいの涙』でデビューし、その後、ジョニー・デップとヘザー・グラハム主演『フロム・ヘル』や、デンゼル・ワシントンとゲイリー・オールドマンを迎えた『ザ・ウォーカー』を手がけたAllen Hughes。タイトルの「ディファイアント・ワンズ」は、恐らく、1958年に制作され、アカデミー賞の脚本賞などを受賞したスタンリー・クレイマーの『手錠のまゝの脱獄(原題:The Defiant Ones)』にインスパイアされたのだろう。『手錠のまゝの脱獄』は、手錠でお互いに繋がれた黒人と白人の囚人が、初めは衝突しながらも、段々と友情を深めていく姿が描かれているのだが、『ディファイアント・ワンズ:ドレー&ジミー』も、Tyrese Gibson(タイリース・ギブソン)の「ヒップホップ界の最初の億万長者だ」というFacebookの投稿に端を発する揉めごとが冒頭に持ってこられていて(Tyrese Gibsonの投稿のお陰で、BeatsがAppleに買収されるのがバレてしまったのだった)、その後、西海岸と東海岸の出身、ヒップホップとロックという出自などなど対照的なバックグラウンドを持つ二人の人生が交差していく経緯が紹介される。
試写が終了したのち、Luke WoodとAllen Hughesのトークに突入。二十五年前の東京国際映画祭以来の来日というAllen Hughesは、ドキュメンタリーという形式について聞かれると、最初に撮った『ブラック・ビジネス』が楽しくて、こういうのもいいんじゃないかと考えるようになり、旧知の中の二人を撮ったら最高になるだろうと思ったと答え、ドキュメンタリーは映画の歴史が始まった時から存在するわけだけど、その頃から変化がないが、そこに何かしらの化学反応が起こせればと思って制作にあったと述懐した。
Luke Woodは、四章に渡る長い作品だが、出てくる人々の物語を見失わないで最後まで観られる、という意味では、ドキュメンタリーという形式をとりながら、ストーリーテリングの部分もあるのではないかと作品の仕上がりを評し、Dr. DreもJimmy Iovineもバックグラウンドはそれぞれまったく異なるが、そんな二人を強く結びつけるのが「音楽」なんだと続けた。
その後もトークは音楽の話題を中心に盛り上がり、最後は場内からの質問に答えるなど、終始フレンドリーな雰囲気で盛り上がった。試写会はロンドンに続いて二都市目となるとのことだが、二番目に選んだのは、AKAIのサンプラーやRolandのTR-808を産んだ日本は、ヒップホップの第二の故郷だからとLukeはいう。今年の夏にBeatsは10周年を迎えるが、マイルストーンとなる年に、ヒップホップの第二の故郷、日本で配信が始まるということで、LukeもAllenも終始エキサイトした様子だった。