これくらいなら、DACボードもたくさん販売されていますし、プログラムもオープンソースで自由に入手できるので、自分で作れてしまう人もいるでしょう。しかし、今回の技術説明会のキモはこの先にありました。

たとえばCDの場合、44.1kHzでサンプリングされています。1秒間に44,100回記録しているようなものですが、出力も44.1kHzできっちりブレずに行わないと、「音が悪く」なります。微妙なズレをどうやって減らせばいいでしょうか?

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    Raspberry Piを使うことで、ダイレクトにデータを転送できる方式が使えます

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    汎用的な通常のRaspbian OSでオーディオ出力を行うと、多少の処理遅れが発生します

JU-001は、いくつかの方法で音質アップを図っています。1つはクロックで、JU-001には44.1kHzと48kHzに対応したクロックを内蔵しています。そして、さらなる音質を求めるユーザー向けに、外部クロックジェネレーターにも対応させました。外部クロックジェネレーターを利用したとき、視聴した範囲でいうと「音の深みが増したかな?」という印象です。

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    JU-001では、主要部分を再構築して、処理遅れを可能な限り減らしています

もう1つは、データを処理するプログラムとRaspberry Piを動かすOSです(標準では、Debian GNU/LinuxをベースにしたRaspbianというOSが使われています)。JU-001では、処理時間のブレを減らすために、リアルタイム性の高いOSを新たに作りなおしたとのこと。さらに、音楽処理のプログラム動作を特定のCPUコアに固定して、一層のブレ抑制を図っています。音楽再生に不要なプログラムは削り、Wi-FiやBluetoothも止めているそうです。

さらにもう1つ。音質向上のために、Raspberri Pi 3に入っている電源回路を使わず、外部からシリーズ電源と呼ばれるノイズの少ない電源と、十二分な整流コンデンサを使っています。この辺りは、さすがオーディオ機器メーカーの仕事ですね。

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    新たに構築しなおした軽量なLinux「1bc(仮称)」で、音楽再生に適した環境を作りました

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    音楽再生に不要な部分は削り、音質重視としています

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    標準のRaspbian OSと1bc OSの比較チャート。CPUを「カツ入れ」(電圧アップとベースクロックアップ)していることにもビックリ

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    JU-001の中はこうなっています。ノイズ対策のためか、Raspberry Pi 3はケースに入っています