スペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress 2018で、HuaweiはWindows PCの「MateBook X Pro」を発表しました。日本が第1次販売国に入っていることもあって、期待度の高さが伺えます。日本市場の取り組みについて、ファーウェイデバイス日本・韓国リージョンのプレジデント呉波氏に話を伺いました。
MateBook X Proは日本語キーボードを検討中
同社は2年間、MateBookを日本市場で展開してきました。主に2in1タイプに注力してきたといいます。これまでは販売チャネルやPC業界との関係作りに力を入れてきて、今回のMateBook X Proで「初めてメインストリームに入ることになる(呉波氏)」との認識で、「日本市場で立ち位置を確定させたい」と意気込みます。
PC市場は、日本と海外で大きく異なる点があると呉波氏は言います。日本ではB2B市場が全体の60%を占めている点、ノートPCと2in1のうち、15インチ以上が全体の60%を占める点、この2点がユニークだということです。呉波氏は、日本市場の独自性を説明するために、この60%という数字を使って社内で説明をしているそうです。
それに対して、グローバルでは60%が15インチ未満なのだそうです。今回、MateBook X Proが13.9インチとほぼ14インチのサイズになったのは、この日本からの声を聞き入れたそうで、両方の要望に応えた結果と言えるでしょう。
日本市場で投入するために、「日本語キーボードもどうにかしたい」と呉波氏。以前はMateBook Dが英語キーボードのまま発売されましたが、MateBook X Proでは日本語キーボード搭載を検討しているそうです。
同時発表されたタブレットの「MediaPad M5 Pro」はキーボードカバーが用意されていますが、これも日本語化を検討しているほか、日本の企業にキーボードカバーを作ってもらうという可能性もあるといいます。「お客様のニーズはもちろん大切ですが、全部をファーウェイ1社でやる必要はありません」と呉波氏。いずれにしても、MateBook X Proのキーボードを含めて、日本語キーボードは「解決案を探っている」そうです。
そのMateBook X Proですが、グローバルではまず中国市場で発売し、その後、米国といくつかの欧州の国、そして日本が同時に発売される予定です。第2四半期には発売の予定で、「具体的な時期は社内で検討中」としています。
とにかく売れるnova2
日本市場では、auから「HUAWEI nova2 HMV31」が登場していますが、「ファーウェイとKDDIの予想を上回っています」というほどの売上だそうです。SIMフリー市場でトップシェアを誇る同社ですが、「SIMフリーモデルより数が出ている(売れている)」のだということで、日本市場のキャリアの販売力の強さを再確認した形です。
それでも、例えばSIMフリーモデルの「HUAWEI P10 lite」は、「通常であれば発売後6カ月もすると販売数は落ちるが、8カ月経ってもいまだに売上が増え続け、勢いが増している感じです」と強調。特に2018年に入ってからは「2ケタの伸びとなっています」とのことです。そして、そんなP10 liteよりも売れているのがnova2だと言うのです。
SIMフリーでは、低価格モデルとして「HUAWEI nova lite 2」を発売していますが、こちらも「ヒットになっている(呉波氏)」様子です。その売れ方は、徐々に売り上げを伸ばすのではなく、急速に伸びているそうです。
こうした低価格モデルでも、2万円台、3万円台、4万円台と、「最も売れている価格帯をカバー(呉波氏)」しているのがファーウェイの特徴です。調査会社の調査では、25,000~35,000円前後の価格帯がボリュームゾーンとなっているそうですが、呉波氏は、今年は、売れ線の価格帯が45,000円まで拡大するとみています。
SIMフリー市場ではP10 liteとnova lite 2でこの価格帯をカバーする考えで、この2モデルで同社全体の50%を占めるとの認識を示しています。
採算が取れるショップの開設
今回のMobile World Congress 2018のタイミングで、同社は東京・秋葉原のヨドバシAkibaにショップを開設しました。これまでカスタマーサポート距点はありましたが、販売ショップの開設は初。これに対して呉波氏は、「店舗開設にあたって唯一考慮すべきはROI(Return On Investment)だけです」と指摘します。
つまり、店舗開設によって見込まれる販売数量が採算ラインを超えるかどうかがポイントで、そうでなければ開設をしないというのです。「ほかの中国メーカーだと、東南アジアに一気に1万店を開設して翌年には5,000店を閉める、といったことも行われています」と他社をチクリとしつつ、「同じようなことをやると、(日本市場では会社として)死ぬことと同等のこと」と呉波氏。
今回のヨドバシAkibaへの開設は、「去年の中ごろから話を進めており、カップルがそろそろ結婚するかというような自然な流れで決まった(呉波氏)」そうです。この時期に開設したことも他社対抗などの特別な意味はなく、採算が確保できると踏んだためで、「いったん開設したら、2~3年で撤退はせずに、継続してやっていきたい」というのが呉波氏の考えです。
P20は日本でもSIMフリーで
そして3月27日には、フランス・パリでスマートフォンの次期フラッグシップモデル「HUAWEI P20シリーズ」が発表されます。呉波氏は、「P10の後継機種として引き続きP20もSIMフリー市場に出していく」考えです。「P20は、日本の消費者のために革新的な体験をもたらしてくれると信じています」と呉波氏はアピールしています。