ローランドは、本年1月に米国で行われた「CES 2018」ならびに「Winter NAMM Show 2018」において発表された新製品を、国内向けに紹介するイベント「Roland/BOSS 2018春 新製品発表会」を開催した。本レポートでは、電子ドラム関連製品、ギター関連製品、オーディオ・レコーダー、スマートフォン用アプリ、電子ピアノなど、今回お披露目された多数の新製品の中から、筆者が個人的にも注目したいアイテムをピックアップし、イベントの模様と共にお届けする。

  • 「Roland/BOSS 2018春 新製品発表会」では、『Music Connects』をテーマに、ユーザーのライフスタイルに密着した新製品群が、ギタリストの本田毅氏、ドラマーの熊谷徳明氏ら豪華アーティスト陣によるデモと共に紹介された

まず注目したいのが、イベント冒頭に登場した、世界初の完全ワイヤレス・ギター・アンプ「KATANA-AIR」だ。ギター・アンプ然とした高級感のあるルックスに、片手で持ち運べる軽量・コンパクトなボディーサイズを実現。遅れや途切れのない、クリアなサウンドと素早いレスポンスを誇るBOSS新開発のワイヤレス・テクノロジーをはじめ、Bluetooth、電池駆動などに対応することで、これまで面倒だったすべてのワイヤリングから、完全に解放されるというのだからうれしいの一言である。もちろん、KATANAの名を冠するだけあり、シリーズ上位機種と同様、ギター・アンプとしての定評ある迫力のサウンドと表現力は折り紙つき。多彩なアンプ・タイプ(5種類)と内蔵エフェクト(50種類以上)を内蔵しており、幅広いジャンルのサウンドを手軽に再現できる。付属のカスタム・ワイヤレス・トランスミッターは、アンプ本体のドックで充電可能(最大12時間連続使用可)となっており、どんなギターにもプラグインするだけで超低レイテンシーなワイヤレス演奏が行える!さらには、Bluetooth接続により、iOS/Android対応の専用アプリ「BOSS TONE STUDIO」によるトーンコントロール、スマートフォンやタブレットからの音楽再生もできるなど、まさにかゆいところに手が届きまくる現代のニーズに最適化されたギター・アンプといえるだろう。

  • 「完全ワイヤレス・ギター・アンプ「KATANA-AIR」。インテリアとしても映えるボディーデザインとパワフルなサウンドは、ギタリストでなくても欲しくなってしまう

続いては、ミュージシャンの中にも愛用者が多い、同社PCMオーディオ・レコーダーの最新機種「R-07」だ。楽器やバンド演奏などの「一度だけのパフォーマンスを、確実に、しかもキレイに録る」をコンセプトに開発された本製品は、最大24ビット/96kHzのハイレゾ音質に対応し、録音状況に合わせて最高の音質で録音するためのシーン機能、クリッピング・ノイズの発生を防ぐハイブリッド・リミッター機能、簡単&確実に録音レベル調節が行えるリハーサル機能などを搭載。内蔵マイクが、その場の空気感を含めたサウンド全体を録音するのに最適な無指向性となっているのも、こだわりを感じさせる仕様だ(狙った音だけを収録したい場合は、外部マイク対応のMIC/AUX入力端子に指向性マイクを取り付けることも可能)。また、Bluetooth接続により、スマートフォン/スマートウォッチからのリモコン操作や、録音済みデータのワイヤレス再生(SBCとaptX)に対応しているので、レコーダーと離れた位置でも録音やモニタリングを行えるのが便利! なお、内蔵のメトロノーム機能とチューナー機能も、楽器の練習などにとても重宝しそう。

  • 「R-07」は、よりコンパクトかつ強力になった、簡単、確実、高音質なハイレゾ対応オーディオ・レコーダー。Bluetoothによるワイヤレス・リモコン&モニタリングもサポートし使い勝手も抜群だ

ハードウェアだけでなく、ソフトウェア関連の新製品も見逃せない。まずは、同社のエントリー向けミュージック・クリエイション・キーボード「GO:KEYS」が、最新の無償アップデートによりSCRATCH(スクラッチ)に対応した。SCRATCHは、MITメディアラボが開発したゲームやマルチメディア作品が作れるビジュアル・プログラミング環境。GO:KEYSを使ってプログラミングを学ぶための「GO:KEYS ScratchX Extension」は、GoogleのWebブラウザ「Chrome(Windows、 Mac)」から無償で利用できる。近年では子ども向けのプログラミングスクールなどでも多く採用されることで注目を集めているSCRATCHにGO:KEYSが対応したことで、自分で書いたコードからループ・ミックスを使ってBGMを作成したり、鍵盤を押してアニメーションを動かしたりなど新たな楽しみや可能性が生まれることだろう。

  • 「GO:KEYS ScratchX Extension」により、インタラクティブアニメやゲームと音楽を繋げて新しい作品やゲームを生み出せる。使用には、GO:KEYS Ver.1.20以上およびGO:KEYS ScratchX Extensionが必要

iPhone/iPad用カメラアプリ「4XCAMERA」は、簡単に画面を分割した演奏動画を作成できる。ローランドによるカメラアプリだけあり、直感的な操作でバンド演奏などオーバーダブ録音するかのごとく、最初に録画した演奏に合わせてテイクを重ねていき、最大4分割のマルチ画面の動画を簡単に作ることができる。各動画の音量バランスやフォーカスなども個別に編集可能となっており、動画編集の経験がないという初心者でも、シンプルながら見栄えのする動画の作成が素早く行える。同アプリは無料版では最大2つまでの画面分割が可能となっているが、アプリ内課金により最大4分割10個の分割テンプレートを利用できるようになる。個人的には、今後のアップデートにより、演奏だけでなく実況動画などにも使えるような分割テンプレートの増加や、タイトルやロゴの簡単挿入機能などの搭載に期待したいところである。

  • 最大4分割したマルチ分割のパフォーマンス動画を簡単に作る事ができるiOSアプリ。アスペクト比は、16:9だけでなく、スクエア(1:1)にも対応しているので、SNSでのシェアで露出を増やしたいユーザーにもオススメだ

  • 展示スペースには、今回発表された新製品の数々にくわえて、実際に著名なアーティストが使用しているドラムセットやエフェクターなどが多数公開されており、来場者の目を惹いていた