署名・捺印の手順を電子化するクラウドサービス「DocuSign」を提供するドキュサイン・ジャパンはこのほど、都内で「ペーパレス化」の最新動向に関するメディアセッションを開催した。

紙ベースの作業による弊害

同セッションでは、同社の代表取締役社長 兼 米国本社バイスプレジデントの小枝逸人氏が説明を行った。まずはじめに同氏は、工場における設備のロボット化や自動化などフィールドの生産性は向上している一方で、オフィスで仕事するナレッジワーカーの生産性は向上していないと指摘。

このような状況を鑑みて「これまではIT化が叫ばれていたが、昨今ではデジタル化という言葉に置き換わった。われわれが考えるデジタル化というのは、仕事を顧客のペースで取り組むのではなく、会社や自分のペースで素早く正確に行う環境を構築することだ。また、従来のITシステムを構築する時代から、ITを使う時代にシフトしていることが、デジタルやクラウドの分野。これは米AirbnbやUberなどの新興企業が該当する」と、同氏は述べた。

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    自分のペースでの業務遂行が望ましいという

日本においては、ワークスタイルの改善、コンプライアンス、生産性の向上が取り組むべき課題であり、特に生産性の向上に関してはペーパレス化を推進していく必要があり、働き方改革の一助にもなるだろう。

実際、文書を作成・印刷し、文書チェック、サイン用伝票作成、印刷後に承認者のサインを受けるためにデスクを巡回した上で文書の社内システム登録、保存用処理を行うなど、紙の必要性や紙ベースの作業による業務の煩雑さが課題となっている。

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    企業における紙信仰は業務を妨げる可能性がある

電子署名だけではないDTMプラットフォーム

そこで、同社では日本におけるペーパレス化や働く環境の改善に向けて、2016年に本格進出した。オフィスと現場をつなぐやり取りをデジタル化することに注力し、課題解決のキーワードとして「100% Digital」を掲げている。

近年では、業務の自動化に取り組む上でトレンドとなってのがAIやRPA(Robotic Process Automation)などのテクノロジーだ。もちろん、ドキュサインでもトレンドを踏まえ、NTTアドバンステクノロジのRPA「WinActor」と連携しており、連携した製品は同社で活用されている。

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    AIとRPAは業務の自動化を可能にする

小枝氏は「DocuSignは電子署名だけではなく、あらゆる端末でいつ、どこで、何をしたかという紙やEメールのやり取りをフル電子化し、すべて証跡を残すDTM(Digital Transaction Management)プラットフォームとして位置づけている。一部の企業は倉庫を借りて大量の書類を保管しており、ワークフローの細部に紙が残るため、われわれではこれらの課題解決を支援している」と、語った。

日本における2018年の事業展開

現在、同社ではグローバルにおいて30万の企業ユーザー、2億人以上のユーザーが利用しており、188カ国43の言語に対応し、不動産から金融サービス、保険、ヘルスケア、テクノロジー、通信メディア、産業機器など導入している業界も多岐にわたる。日本では、アパマンショップホールディングスやソフトバンク・ペイメント・サービスなど約400社が導入している。

2018年の戦略として小枝氏は「パートナーシップの強化、サービスの日本化、マーケットの拡大の3つが柱となる」と、説明した。また、フォーカスする市場としては銀行や保険、通信ハイテク、不動産、ヘルスケア、スタッフィング、政府自治体、小売・サービス、製造業などを想定しており、企業におけるペーパレスと業務効率の改善などを図り、デジタル化の推進を支援していく考えだ。

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    日本市場でフォーカスする業種