ソニーが実に約四半世紀(26年)ぶりのレコーディングマイクを発売します。CD全盛の1992年に発売されたC800G以来となる「C-100」「ECM-100U」「ECM-100N」の3モデルです。新製品の概要とともに、開発した狙いや特徴について紹介しましょう。
なぜ今、マイクの開発なのか
新製品はコンデンサーマイクロホンの「C-100」と、エレクトレットコンデンサーマイクロホンの「ECM-100U」「ECM-100N」です。3モデルとも、プライベートスタジオにおいてプロの音質で音楽制作を楽しんでいるDTMユーザー、楽器プレイヤー、シンガーから、さらには本格的な楽曲制作に取り組んでいるプロまで幅広いターゲット層を想定しています。ところでソニーでは、なぜこのタイミングでスタジオレコーディングマイクの開発を進めたのでしょうか。
答えは、ハイレゾの普及と、個人によるライブ配信の盛り上がりにあるようです。ソニーの担当者は「ハイレゾの普及によって、再生機器や配信機器に、CD以上のデータを含むことが可能になりました。しかし、リッチコンテンツを手軽に楽しむ時代ながら、集音機器において高帯域や高域を考慮して開発された音楽用マイクが少ないのが現状。そこでマイクの開発が進められました」と語ります。
新製品のマイクは、20~50kHzまでの広帯域収音に対応。新しく開発した、フラットに伸びる自社製コンデンサユニットを採用しています。
「高域の抜けが良く、音がつぶれることがありません。このためレコーディング・スタジオやコンサートホールの響きを忠実に録音できます。ソニーでは『ハイレゾ時代の高品位な音楽制作に向けたスタンダードマイク』として、幅広いお客さまに製品を提案していきます」(担当者)。
ボーカル録音の「C-100」
ボーカル録音に適したモデルが、サイドアドレス型の「C-100」です。ハイレゾに対応しており、20~50,000Hzの広帯域収音が可能。2way構成によって、高域の広がりと豊かな中低域を両立しました。芯のはっきりとした存在感のあるボーカル録音が魅力です。推定市場価格は15万7,000円(以下すべて税別)、発売日は3月17日の見込みです。
楽器録音の「ECM-100U」「ECM-100N」
楽器録音に適したモデルが、単一指向の「ECM-100U」と全指向の「ECM-100N」です。こちらもハイレゾ対応(~50kHz)で、高域までフラットな特性を持っています。ECM-100Uでは、楽器の弦や共鳴胴の振動をリアルに再現。一方のECM-100Nでは、スタジオの空気感までリアルに再現することを目指したとのこと。推定市場価格はECM-100Uが10万円、ECM-100Nが11万2,000円、ともに発売日は3月17日の見込みです。