ロバート・ウォルターズ・ジャパンは16日、外資系・日系グローバル企業の国内拠点の中途採用事例をもとに、産業・職種別の採用動向と給与水準をまとめた「給与調査 2018」を刊行した。それをもとに求められる人材の傾向などを説明。そこからは"テクノロジー"や"契約社員"といったキーワードが浮かんできた。

  • 「給与調査 2018」を刊行。無料配布するほかホームページ上でも公開

同社が説明したのは、国内における1万弱の取扱事例(うち採用事例は約2500件)から導いた人材トレンドについてだ。

デイビッド・スワン社長は、世界的な傾向として、専門性の高い「プロフェッショナル」に人気が集まっていると指摘する。伝統的な技術・専門職以外に、ビッグデータの活用やサイバーセキュリティの構築、フィンテックの活用など、いずれも専門性が高く、新興分野ほど需要が高いようだ。

この傾向は日本も同様である。日本における分野別のトレンドをいくつか例を挙げてみよう。そこからも専門性の高さがわかるはずだ。

自動車分野ではソフトウェアエンジニア、レーダー、超音波やカメラなどのセンサリングシステムなどの専門技術を持つ人材、プログラミング、システムに関連の技術を持つ人材への需要も高かったとする。ほかにも、フィンテック、メディテック、HRテックなど「テック」という言葉で括られる新興分野への需要が高まっているようだ。

給与水準も需要の大きさを反映する。プロフェッショナルのベースサラリーは転職前に比べて10-15%アップ。さらに新興分野の転職者は20-25%と大幅アップした。新興分野では、需給がアンバランスだからこそ、アップ幅も増えるわけで、引く手あまたであることが容易に想像できるだろう。

興味深いのは、多くの企業の傾向として、ミッドエイジ、シニアと呼ばれる年齢層の採用が見られたことだ。これは即戦力を求める企業が増えていることのあらわれであり、年間を通じて40歳を超えた人たちの採用が続いたという。

もうひとつ興味深いのは、企業の人材採用に関する取り組みとスタンスについて。企業は人材確保のために、ワークスタイルの変革に取り組んだところが数多く見受けられたが、一方で人材採用における雇用形態からは慎重な側面が見られたという。

採用当初は契約社員での雇用を行い、以後、正社員に切り替えていく方式をとる企業が多かった。これは過剰な人材採用を回避したいという企業の心理のあらわれである。

ただし、優秀な人材が再度外部に流出してしまえば無意味となる。このため、正社員への雇用切り替えも行なっているようだが、企業側は慎重な姿勢を崩していないことは理解しておきたい。

最新トレンドを見ていくと、プロフェッショナル人材が求められているとともに、テクノロジーの存在感が増していることに気づく。そうした仕事は最終的には製品やサービスに反映されることになる。転職を希望せずとも、多少なりとも多くの人に関わっていくと考えられるはずだ。とりわけテクノロジーは日進月歩で進化しており、改めて情報との接し方について見直してみるのもいいのではないだろうか。