凸版印刷は、寿技研と手術トレーニング用製品の開発で協業し、生体と同様の柔軟性・強度・感触などを保有し、形状や病態などをリアルに再現できる、植物性食品を原料とした新しい手術トレーニング用模擬臓器を開発したと発表した。同製品は、大学や医療機器メーカーに向けて12月中旬から販売が開始される。

  • 手術トレーニング用模擬臓器のサンプル

    手術トレーニング用模擬臓器のサンプル

  • 手術トレーニングでの活用イメージ

    手術トレーニングでの活用イメージ

同製品は、従来の手術トレーニングで多く使用されていた動物の皮膚や臓器、シリコン樹脂などの代替となる新しい手術トレーニング用模擬臓器。千葉大学フロンティア医工学センターの川平洋准教授、中村亮一准教授による監修のもと、製品化が実現した。従来使われてきた動物の皮膚や臓器は、動物保護意識の高まりから使用が難しくなりつつあり、使用時の動物特有の臭気や、廃棄処理の煩雑さも課題となっていた。また、シリコン樹脂では、電気メスや超音波メス、超音波画像診断装置などを用いた際に、生体に近い挙動を再現できないことが課題となっており、従来品に代わる新しい製品が求められていた。

こうした要求に対して凸版印刷と寿技研は、寿技研の植物性食品を原料とする手術トレーニング用新素材を活用し、新しい模擬臓器を共同で開発。同製品は、生体と同様の柔軟性・強度・感触などの物性を保有しており、色や形をコントロールすることにより主要な臓器や病態をリアルに再現することができるため、多様な手術手技のトレーニングに活用できるという。電気メスや超音波メス、超音波画像診断装置などを用いても実際の臓器に極めて近い挙動を再現でき、実践に即したトレーニングが可能となっている。さらに、植物性食品を原料としているため使用後の廃棄が容易で、常温で長期保存ができるというメリットもあるということだ。