--CTOとして、どうやって持続性のあるイノベーションを生み出すカルチャーを奨励しているのか?--

Berkes氏: 複雑な問題だが、当社にはイノベーションの創出について正しい社風、サポートがある。

例えば、イノベーション、インキュベーションの取り組みにおけるCA Acceleratorプログラムが良い例だ。CTO組織でスタートしたプログラムだが、今では全社の取り組みとして進めている。CAの社員なら誰でも新しいアイデアを出し、評価してもらうことができる。そのアイデアにビジネスとして価値があると評価されれば、インキュベーションプロジェクトとなる。成功すれば、製品組織が支援してスケールアップする。

インキュベーションが成功しなくても、得るものは大きい。プログラムの目的は新たなビジネスを構築すること、文化を変えることなので、すべてが成功する必要はない。実際、スタートアップと同じで成功するものはわずかで、製品組織まで行くのは10に1つだ。しかし、CA Acceleratorに参加した人は、新たなスキルを獲得している。顧客とどうやってエンゲージするか、バリューを提供するか、アイデアをどうやって迅速に進めるか、などだ。インキュベーションプロセスが終わる頃には、経験はさらにリッチになり、新しいスキルを獲得して、社内に還元されていく。

CA Acceleratorはスタートして1年半だが、社内でも高い支持を得ている。顧客との会話という点でも良い効果をもたらしている。

--顧客の開発現場が変わり、技術の購入パターンも変わっている。CAはこの変化にどう対応しているのか?--

Berkes氏: これまではトップが購入して組織全体が利用するという流れだったが、これからは個人や小さなチームでスタートすることが増えるだろう。われわれも異なるアプローチをとって、小さく初めて長期的に関係を進化させる必要がある。

CA Worldの基調講演では、技術の採用がボトムアップになっていると話した。私が担当するエンタープライズテクノロジーの組織で、私はCTOだが購入の決定は行っていない。開発者とオペレーション担当が「正しいツールとは何か」を試しながら決めている。最終承認は私だが、意思決定はチームに任せている。

アプローチだけでなく、価格体系も変化が必要だろう。ユーザー単位のライセンスなど、利用しやすい価格である必要がある。CAの中でも一部の新製品は、低コストのライセンス体系を取っており、一人が使い始め、チームに広がり、企業全体で採用するというケースが見られる。

今後、CA製品の価格と採用モデルはもっと拡張性のある形にしていく。

--組み込みソフトウェアでは、どのような取り組みが行われているのか?--

Berkes氏: 組み込みソフトウェアには大きなチャンスがあると見ている。例えば「API Management」を利用して、複雑な組み込みシステムがAPIを介してやりとりできる。API管理に関して当社は豊富な専門知識を持っている。IoT、エッジコンピューティングを取り込んだIoTでもCAのAPI Managementは利用できるだろう。

組み込みシステム分野で、われわれが何を提供できるのかについても継続的に考えている。CA Acceleratorのインキュベーションには、IoTにフォーカスしたものもある。ここで、われわれができることは、IoTアプリとIoTインタフェースの開発とテストになる。たくさんのセンサーがある自動車などに対し、これらとやりとりし、活用するアプリやコードをどうやって書くか。開発者やテスターが物理的なデバイスがなくても、IoTアプリの作成とテストができるように仮想化することなどを進めていく。