スマートフォンやアクションカムなど、4K動画撮影に対応したデバイスが一般にも普及してきました。しかし4K動画を手軽に撮影できるようになったとはいえ、それを実際に編集するとなると、編集用PCには高いパフォーマンスが要求されます。4K動画とフルHD動画には面積比で約4倍の差があります。つまり単純計算で4K動画を書き出すときには4倍の作業量が発生するのです。
2017年は8コアや10コア、はては18コアなどこれまでよりもコア数が大幅に増加した「メニーコアCPU」が熱い年となりました。そこで、現在のハイエンドパーツでPCを自作すると、どれだけ動画編集の作業スピードが向上するのか。MSIからパーツをお借りして試してみました。
かく言う筆者も2017年はAMDの8コア/16スレッドの「Ryzen 7 1800X」でメインPCを新調しています
完成したのは総額40万越えのハイスペックPC
今回MSIより借用したパーツは、10コア/20スレッド「Intel Core i9-7900X」、Intel X299チップセット/LGA2066ソケットを搭載したMSI製マザーボード「X299 SLI PLUS」、NVIDIA GeForce GTX 1080を搭載したMSI製グラフィックスカード「GeForce GTX 1080 GAMING X 8G」など9製品。
合計金額は実売価格で約47万1000円となります。上を見れば18コア36スレッドの「i9-7980XE」などさらに上位のパーツもありますが、コンシューマー向けPCとしては今回の構成、価格が現実的な上限となるでしょう。
使用しているパーツ一覧とその価格 | ||
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パーツ名 | 製品名 | 実勢価格(円) |
CPU | Intel Core i9-7900X | 106,000 |
CPUクーラー | Cooler Master MasterLiquid 240 | 15,000 |
マザーボード | X299 SLI PLUS | 32,000 |
メモリ | Kingston HyperX Predator DDR4 8GB×8 | 112,000 |
SSD | Intel SSD 600p Series(SSDPEKKW256G7X1) | 15,000 |
HDD | Seagate BarraCuda Pro 10TB | 54,000 |
グラフィックス | GeForce GTX 1080 GAMING X 8G | 108,000 |
PCケース | Cooler Master H500P | 17,000 |
電源ユニット | Cooler Master V750 | 12,000 |
Skylake-X世代のCPU「Intel Core i9-7900X」。前世第のハイエンドモデルと同じ10コア/20スレッドですが、動作クロックが引き上げられた上に10万円台とコストパフォーマンスが大きく改善しています。
マザーボード「X299 SLI PLUS」。MSIは近年ゲーミングに非常に力を入れていますが、こちらのモデルは、ビデオ編集をはじめとするコンテンツ制作や計算処理システム向けとなっていいます。デジタル電源フェースや防湿PCB、メモリの安定性を向上させる「DDR4 BOOST」など派手さというよりは、安定性や耐久性をアピールする製品です。
メモリ「Kingston HyperX Predator DDR4」。黒いアルミニウム製のヒートスプレッダーを備えたハイエンドPC向けメモリ。今回は8GB版を8枚挿した64GB構成となっています。
グラフィックスカード「MSI GTX 1080 GAMING X 8G」。NVIDIA GeForce GTX 1080を搭載したゲーミングPC向けグラフィックスカード。OC(オーバークロック)モード、ゲーミングモード、サイレントモードなど用途に応じで動作スピードを切り替えられます
SSD「Intel SSD 600p Series(SSDPEKKW256G7X1)」。M.2形状PCIe NVMe 3.0 x4接続のインテル製SSD。規格上の最大読み出し速度は1570MB/sです。MSIのX299マザーボードでは、M.2 SSD向けに冷却ソリューションを強化しています。X299 SLI PLUSでも冷却用のM.2 Shieldを備えています。
HDD「Seagate BarraCuda Pro 10TB」。7200rpmの高速3.5インチHDD。製品保証が5年間、データ復元をサポートする「Rescueデータ・リカバリ・プラン」が2年間付帯されています
水冷CPUクーラー「Cooler Master MasterLiquid 240」。Cooler Master製の一体型水冷CPUクーラー。6~30dBAの静音性を実現しています
ケース「Cooler Master H500P」。フロントに200mmのRGB LEDイルミネーションファンを2基搭載したミドルタワーPCケース。大型ファンで強いエアフローを形成します。記事執筆時(11月21日)は日本未発売。
電源「Cooler Master V750」。80PLUS GOLD認証を取得したセミモジュラー式750W電源ユニット。本体サイズは150×140×86mmとコンパクトに設計されています
全パーツを組み上げて完成した自作PC。今回のミドルタワーPCケースは中身を積極的に見せるデザインとなっています