ラズパイ用アクセサリをそのまま使える

Tinker Boardは、2017年1月発売のASUS製シングルボードコンピュータ。SoC「Rockchip RK3288」のCPUには最大1.8GHzで動作する4コアのCortex-A17を、GPUには4コアのMali-T764を採用。メモリには2GBのLPDDR3 RAMを積む。

通信機能としてIEEE 802.11b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0+EDRをオンボードで備ええるほか、有線LANはGigabit Ethernetに対応。I/OとしてUSB 2.0×4とHDMI 2.0×1、GPIOポートとCSIポートを用意する。

その基板レイアウトは、Raspberry Pi 2 Model Bおよび3 Model B(以下、Raspberry Pi 2/3と省略)とほぼ同じ。電源供給用のUSB Micro-B端子、HDMI端子にステレオミニジャック、起動ディスクとして使うMicro SDカードスロット、USBポートにEthernetポートまで、"寸分違わぬ"と表現していいほど位置は同じだ。つまり、豊富に存在するケースなどのRaspberry Pi 2/3用アクセサリを、ほぼそのまま手を加えずに流用できる。

ASUSが公開しているTinker Boardの寸法図とRaspberry Pi 3 Model Bの寸法図

GPIOのピン数と位置も同じ。ASUSが公開する資料から判断すると、電源周り(1/17ピンに3.3V OUT、2/4ピンに5V IN)やグランド(6/9/14/20/25/34/39ピン)は共通で、I2S関連(12ピン=BCLK、35ピン=LRCK、40ピン=SCLK)のピンアサインにも違いはない。

ASUSが公開しているTinker BoardのGPIOピンアサイン。Raspberry Pi 3とほぼ同じだ

Raspberry Pi用拡張ボードとの互換性は、機構的な面でも考慮されている。Raspberry Pi財団は、GPIOに挿す形状の拡張ボードを「HATs」規格にまとめているが、Tinker BoardもGPIOの位置を含めHAT準拠の拡張カードを搭載できる機構を採用している。

実物ではどうかと、筆者がプロデュース/機構部分の設計も担当したRaspberry Pi 2/3用アルミ削り出しケース(9月発売予定)で試したところ、Tinker Board対応とうたっていいほどピタリと収まった。ケースはRaspberry Piの端子やネジ孔の位置とミリ以下の精度で合わせており、金属製ということもあってわずかなズレがあっても格納できないはずだが、拡張ボード部分の機構も含め正確だ。

筆者が機構部分の設計を担当したRaspberry Pi 2/3用アルミ削り出しケースにも、ピタリ収まった

ヘッドホン端子の周囲はRaspberry Piに比べ細身のため、すき間が生じてしまうことを除けばほぼ完璧だ

なお、Tinker Boardは5V/2~2.5Aの電源が推奨されている(入力は5V/1A~2.5Aに対応)。ACアダプタのほかUSBポートを備えた高出力型モバイルバッテリーも利用できるので、電源を含めRaspberry Pi 3(5V/2.5A)とまったく同じスタイルでの運用が可能といえる。