三慧会と富士通は、三慧会が持つ約1,000名の患者のホルモン検査値や治療経過などに関するデータと、富士通が開発した「不妊症版類似症例検索システム」を用い、不妊治療における効果的な治療を実現する診療支援システムの実証研究を実施すると発表した。実証期間は2017年9月から12月までの3か月としている。

「不妊症版類似症例検索システム」による治療効果の可視化

近年、晩婚化などを背景に不妊治療患者は増加傾向にあり、国内では現在、6組に1組のカップルが不妊治療患者とされている。また、その治療実施件数は10年間で3倍以上に増加している。しかし、その治療分野は別の疾患分野と比べると歴史が浅く、医師は自身の経験則に基づいて治療法を判断せざるを得ないという問題があった。

不妊症版類似症例検索システムは、患者の診療データから得られたデータに基づいて、類似する過去患者を検索することができるもの。それぞれの過去患者に対して実施された治療法と投与された薬の量ごとに、採卵数や正常受精数、成熟卵数、胚グレード、妊娠率を可視化し、治療対象患者に対する治療効果を予測することも可能だ。

今回の実証研究では、三慧会が提供する過去患者約1,000名のデータを同システムで分析し、すでに治療を完了している過去患者の診療データを検証用データとして治療効果予測と治療実績の比較から予測の精度評価を行う。これにより、同システムの診療支援システムとしての有効性を検証する。

「不妊症版類似症例検索システム」の解析結果と治療実績の比較からの予測精度評価

両者は、この取り組みにより、不妊症版類似症例検索システムの示す治療効果予測によって適切な治療法の選択を支援することで、患者あたりの治療回数を減らし、身体的、経済的な負担を軽減するとともに、医師の診療業務の負担軽減を実現していきたいとしている。