国立遺伝学研究所は、情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)の小野浩雅特任助教、坊農秀雅特任准教授、同機構 国立遺伝学研究所の小笠原理特任准教授、大久保公策教授の研究グループが、遺伝子発現解析の基準となる各遺伝子の遺伝子発現量を簡単に検索・閲覧できるWebツール「RefEx」を開発したことを発表した。この成果は8月30日、英国オンライン・ジャーナル「Scientific Data」に掲載された。

遺伝子発現解析の基準となるデータを快適に検索可能なウェブツール「RefEx」(出所:国立遺伝学研究所ニュースリリース)

生命科学分野では公共データベースが多数存在しているが、実際にそれらを研究に利用しようとしたときに、使うべきデータがどれなのかわからない。特に遺伝子発現データは、DNAマイクロアレイの発明によってゲノム規模の測定が可能となって以来、さまざまな研究グループによって異なる測定手法を用いた大量の遺伝子発現データが蓄積していた。それらの中から、どれを選べばいいのかの指針となりうる代表的な遺伝子発現量データセット、あるいはリファレンス(参照)データが必要とされていた。

今回、国立遺伝学研究所が有する遺伝研スーパーコンピュータシステムを利用して開発された「RefEx」は、遺伝子発現解析の基準となる各遺伝子の遺伝子発現量を、誰でも簡単に検索・閲覧できるウェブツール。複数の遺伝子発現計測手法によって得られた哺乳類の正常組織、細胞等における遺伝子発現データを収集し並列に表現することにより、各組織における遺伝子発現状況を計測手法間の差異とともに直感的に比較できる。

検索方法は、キーワード検索、組織特異的に発現する遺伝子を見る、遺伝子オントロジー、遺伝子ファミリー、染色体という5つのパターンに対応し、生物種選択の部分で選択された生物種のデータベースに対して行われる。

なお、同研究グループは、このRefExを用いることにより、生命現象の解明や医薬品の開発等につながる研究成果の解釈などが容易になり、生命科学研究の進展に大いに寄与することが期待されると説明している。