ネットワークやクラウドでの取り組みを急拡大
ソラコムの買収は確かに大きな出来事であったが、KDDIのIoTプラットフォーム拡大に向けた取り組みは、昨年から今年にかけ非常に活発になっている。ネットワークに関して言えば、現在は「Cat-M1」「NB-IoT」など携帯電話網を使った、低消費電力で広範囲をカバーするLPWA(Low Power Wide Area)のネットワーク構築に力を入れており、今年度中にそれらを活用したサービスを提供する予定だとしている。
またKDDIは、携帯電話網を利用したLPWAだけでなく、「LoRaWAN」や「SIGFOX」など、Wi-Fiのようにオープンな帯域を用いたLPWAの展開にも注力。中でもSIGFOXに関しては、そもそも日本で独占的にSIGFOXを展開する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の大株主がKDDIであるし、KCCSがSIGFOXの日本展開を発表した際には、KDDIの代表取締役執行役員副社長である髙橋誠氏が、KCCSとの協業を通じてSIGFOXの活用を積極的に推進していくとのコメントを寄せるなど、関連性の高さを見て取ることができる。
デバイス面に関しては、KDDI自身通信モジュールの提供では豊富な実績を持っているのに加え、同社自身が提案できるセンサーデバイスも2000種類に上るとしている。さらにKDDIはSIMを活用したセキュリティ技術や、組み込み用SIM「eSIM」に関する技術なども持ち合わせていることから、SIMを活用したさまざまな施策の展開も可能だ。
だがIoTをビジネスに本格活用する上では、デバイスから得たデータをネットワークで送った先の施策が重要になってくる。つまりクラウド上に蓄積された膨大なデータを、いかに活用・分析して必要な情報を得られるかが、IoTプラットフォームで最も求められる部分でもあるのだ。
KDDIはこの部分に関しても、今年いくつかの手を打っている。3月にはアクセンチュアと、データ解析による顧客体験価値向上と、パートナービジネスの推進を目的とした合弁会社「ARISE analytics」を設立。さらに5月にはさまざまなデータを流通させる「KDDI IoTクラウド データマーケット」を提供し、企業がIoTで取得したデータと、他のさまざまなデータを組み合わせ、さらにARISE analyticsを活用した高度なデータ分析を提供することによって、多角的な分析による新たなビジネス創出へとつなげる取り組みも進めている。