これは投資会社のスパークス・グループと、三井住友銀行、そしてトヨタ自動車が設立したファンドであり、ソラコムは2016年7月に、このファンドから出資を受けている。そしてソラコムはこの出資を受けた際、トヨタ自動車とKDDIが進めているコネクテッドカー向けのグローバル通信プラットフォームに技術やサービスを提供するとしていた。この出資を起点として、ソラコムとKDDIとの関係が生まれたわけだ。
その後両社はKDDI IoTコネクト Airでの協業によって一層関係を深めることとなる。この協業で、KDDIの技術部門とソラコムがコミュニケーションを取り合う中、KDDI側がソラコムの実力を高く評価したことが買収へつながっていったと、KDDIは説明している。
KDDIは現在、IoTビジネス拡大のため、自社ネットワークを用いたIoTプラットフォームの拡大に力を入れており、ソラコムの買収によってそのプラットフォームが一層強化されることとなる。では他の2社は、そのKDDIとIoTの分野でどのように戦っていく考えなのだろうか。
自前主義で対抗する姿勢を見せるのがソフトバンクだ。同社は7月20日、独自の法人向けIoTプラットフォームを発表している。これはNB-IoTなどの携帯電話網を活用したLPWAだけでなく、LoRaWANなど幅広いネットワークに対応し、IoTデバイスや、そこから得られたデータを管理し、APIの開放によってほかのアプリケーションからも利用しやすい仕組みを作るとしている。
一方NTTドコモは、外部の企業と組むことでIoTプラットフォームの拡大を進めていく考えのようだ。その一例として、同社はコマツやSAPジャパン、オプティムと合弁会社を設立し、建設業界向けIoTプラットフォーム「LANDLOG」の提供を発表している。
ソラコムを買収したKDDIが、IoT向けネットワークの分野で優位性を獲得できたのは確かだ。だがその優位性を今後も継続していくためには、KDDIとソラコムの事業をうまくリンクさせ、いかに相乗効果を上げられるかが求められる。KDDIのIoTビジネスにソラコムがどの程度関与し、ビジネス拡大に貢献できるかは、今後の大きな注目ポイントになるといえそうだ。