情報通信分野の専門調査研究やコンサルティングを行う情報通信総合研究所は28日、広がりを見せ始めたインターネット上でモノやサービスの貸し借りを行うシェアリングサービスの調査結果を発表した。

昨年2016年の市場規模は年間約1兆1,800億円、利用意向動向などを踏まえた潜在的な規模は2兆6300億円まで拡大する可能性があるという。若い世代ほどシェアリングサービスを積極的に利用している動向など見逃せない規模に拡大しつつある。

アンケートは2016年12月に20代から60代の男女にWebアンケートで調査したもので2,663サンプルからの結果になる。実際にシェアリングサービスの利用状況や利用意向、シェアリングサービスにより得ている収入/支出を調査。総務省の年代別の人口、インターネット利用率を用いて全体の取引金額を推計している。

- 20代 30代 40代 50代 60代
男性 260 264 268 270 263
女性 273 268 270 261 266

対象サービスは、スペースのシェア/モノのシェア/移動のシェア/スキルのシェア/お金のシェアの5分類に大別しており、それぞれの利用実績や利用意向を分析している。

スペースのシェア ホームシェア、農地、駐車場、会議室のシェア(Airbnb、STAY JAPAN、スペースマーケットなど)
モノのシェア フリマ、レンタルサービス(airCloset、ラクサス、ジモティーなど)
移動のシェア カーシェア、ライドシェア(Uber、notteco、Anycaなど)
スキルのシェア クラウドソーシング、家事代行、介護、育児のシェア(クラウドワークス、アズママ、タスカジなど)
お金のシェア クラウドファンディング(Makuake、READYFOR、Crowd Realtyなど)

取引金額は、提供する側の収入が2016年時点で年間約1兆1,800億円。利用側の支出が約4,400億円という推定。支出側が少ないのは、訪日外国人の利用分を含むいくつかの要因が影響している。

モノやサービスをシェアすることによる収入・支出

調査では今後の利用意向も調査しており、提供意向を持つユーザーが、全員利用した場合の潜在的市場規模は年間で約2兆6,300億円。利用側支出が約1兆1,100億円となる。

利用側では「移動のシェア」が大きく1,490億円、潜在的な推定でも3,965億円となるが、同社では、地方ではシニア層が病院や買い物に行けないという課題があり、引き続き拡大していくと予測している。

またシェアリングサービス全体としての利用率は、やはり若い年代ほど高く、モバイルの利用動向と同様に世代を経ても鈍化せずにこのまま推移していくことも予測できる。

提供側の利用率と利用動向の詳細(同社資料より)

利用側の利用率と利用意向の詳細(同社資料より)

同社では、シェアリングサービスは遊休資産の活用だけでなく、ピーク需要への柔軟な対応、人手不足の解消、社会的費用の削減などの利点があること、人口減少や少子高齢化が進む日本においては、特に重要な経済活動になるとシェアリングサービスの経済的重要性を指摘している。