ハウステンボス、hapi-robo stとインテルは6月23日、インテルShooting Starドローン300機を使用した日本初のドローンライトショーを7月22日~8月5日まで毎日開催すると発表した。今回のライトショーはハウステンボスの25周年のスペシャルショーとなり、音楽に合わせてドローンが夜空を彩る。ショーの詳しい内容やショー鑑賞費用はまだ公開されていないが、初日は「夏一番花火大会」、最終日は「スペシャルテーマ花火大会」が同時開催されており、そちらの特別観覧席の価格は公開されている。

Intelにおけるドローン事業

会見ではIntelのUAV事業を統括しているナンデュリ氏が登壇。Intelはここのところ、自らを「データカンパニー」と表現している。エッジ側デバイスから発生したデータを、ネットワークでクラウド側に送り、解析することで新たな価値を生み出すという成長戦略を描いているが、これを踏まえて、ナンデュリ氏はデータを「新しい石油」だという。

Intel ニューテクノロジー・グループ副社長 兼 UAV事業本部長のアニール・ナンデュリ氏。手に持っているのはライトショー用のドローン「Shooting Star」

「データカンパニー」へと変貌を遂げつつあるIntelの成長戦略にとってドローンは、エッジ側デバイスとして大きな位置にある

発生するデータは爆発的に増加しているが、将来的には1日当たりTBクラスのサイズになるという観測もある。ナンデュリ氏は「今後10年でデータのトランスフォーメーションが起きる」とする。膨大なデータを扱うためのストレージや、伝送するネットワーク、データを解析するデータセンタまで、さまざまなタッチポイントを担える点がIntelの強みだ。

Intelではドローン事業として、チップやボードを含めた開発プラットフォームの提供や、ライトショーの運営、商用向けのシステムソリューションなどを手がけている。まず、開発プラットフォームとしては「Intel Aero Platform」を用意。オープンソースでカスタマイズに対応するという。また、3Dカメラを利用したセンシング技術「Realsense」によって、衝突防止や機械学習を使用したコンピュータービジョンを可能とする。

Intelは開発者向けプラットフォームや商用ドローン、そして今回のライトショー用ドローンをパートナーと共に推進する

商用システムに関しては、ドローンを使って、高所や災害現場といった人が立ち入ることができない場所の点検や監視活動といった用途を想定する。すでにいくつかのパートナーと連携しており、航空機の外部検査や自然災害時に調査を行う。人のパイロットが複数のドローンを運用することで、短時間での調査が可能になるという。

これらのソリューション向けにはマルチローターの「FALCON 8+」と固定翼の「MAVINCI SIRIUS」を用意。前者は安全性と冗長性に優れており、後者はセンチメートル単位の精度と地上マーカーなしでの長距離フライトに優れているのが特徴だ。

そして、「ライトショー」だが、LEDを搭載した専用の軽量ドローン「Shooting Star」を使ったもので、新しい方法でストーリーを表現することで、デジタル花火や新しい広告手法として利用できるとする。

多数のドローンを飛ばし、夜空を彩るエンターテイメントドローンがShooting Starだ

Intelでは、これまでに100件以上のドローンライトショーを実施。2017年2月に行われた第51回スーパーボウルのハーフタイムショーでは、夜空にアメリカ国旗を描いたことも記憶に新しい。これまでは海外での実施だが、今回ハウステンボスにて初めて行われることになる。

オンリーワン、ナンバーワンのイベントに

続いてハウステンボス 取締役CTO/ hapi-robo st代表取締役社長 富田直美氏が登壇し、今回の取り組みにいたる背景を説明した。2014年に開催した花火大会を空撮し、通常からは見られないアングルの映像からドローンの魅力に目覚めたという富田氏。ドローンを使ったイベントを考えていたとのこと。

ハウステンボス 取締役CTO/ hapi-robo st代表取締役社長の富田直美氏。手に持っているのはDJIのドローンインストラクターライセンス。DJIのインストラクターライセンスも取得するほど「ドローンを良く知っている」という

本来テクノロジーは人を幸せにするのでは? ということで「Love , Peace , TECHNOLOGY」と(親会社であるHISのコーポレートタグラインをもじった)メッセージ。テクノロジーで人々を幸福にするという意思が感じられる

ドローンに限らず、新しいことを行うためにはさまざまな規制が障害となるが、ハウステンボスの敷地は、もともとヘドロを埋め立てた私有地であり、そのような制限が少なく、いろいろなことができるとアピールする。今回のライトショーはIntelのShootingStarを使用するが、演出に関してはhapi-roboとハウステンボスで行い、今後も最新テクノロジーを使用したイベントを行いたいとした。

3年前に自ら操縦したドローンで花火大会を撮影したそうだ

ハウステンボス 代表取締役社長の澤田秀雄氏も登壇。現在のハウステンボスは花と木と自然を大切にしており、5月は100万本のバラが咲き、現在はアジサイといつ行っても多くの花が咲いているという。この自然の中で最新のテクノロジーを使ったオンリーワン、ナンバーワンの感動的なイベントを行いたいという。

本日の登壇者。左からハウステンボス 取締役CTO/ hapi-robo st代表取締役社長の富田直美氏、ハウステンボス 代表取締役社長の澤田秀雄氏、インテル 代表取締役社長の江田麻季子氏、Intel ニューテクノロジー・グループ副社長 兼 UAV事業本部長のアニール・ナンデュリ氏

これまでにない体験を作り出せるか

筆者個人の感想としては、実際にShooting Starが飛んでいる現場を見たことがないため、事前リハーサルでもいいから見に行きたいと思っている。ただし、せっかく行くからにはハウステンボスも満喫したいし、ロボット満載の「変なホテル」にも泊まりたいので、そう考えると予算と時間が取れるか微妙なところではあるが。

Shooting Starの最大飛行時間は約20分で実質的には10分程度。これで「行ってきてよかった」と言えるコトの体験が生み出せるか。hapi-roboとハウステンボスがどのようにショーを構成するのかが興味深い。